ここ暫く隔日ぐらいのペースでコミミズクの探鳥地に通っている。
前回のビギナーズラック以来、なかなか近くを飛んでくれないのが悩みだが、今のところ7割ぐらいの確率で遭遇そのものはできているので良しとしよう。
なんとなく周回飛翔コースなども掴めてきたので、これからは写ればいいという段階から一歩前進、背景や光線などの要素も考慮して意図する写真を撮ってみたいと思っている。
とはいえ言うは易し、相手はこちらの意図などお構い無しの野生の命。
まずはフレームに収まれば良し、という状況が当分は続んだろうけど。
その探鳥地、超有名なスポットとは違い、エリア内の道路本数も多く、道幅や路面等の道路状況が良いので、積雪期や凍結時でも比較的安心して移動が可能。駐車もし易いこともあって最近はほとんどこちらで撮っている。
そんな場所ゆえ当然バーダーも多く、天候が穏やかなときは常時5〜6台は周辺道路の路肩に停まっているのが普通。
そして前回も書いたようにほとんどのバーダーが車外に出て三脚を構えるか、手持ちであってもカメラを抱えて周囲をウロウロ。仲間なのか同好の士として現地で意気投合したのか、談笑しながらコミミの出を待つ光景があちこちで見られる。
フクロウ類は車内撮影、という不文律がスタンダードルールかどうかは議論の余地があるとしても、そういった光景を眺めていてもここまでは特に問題は感じなかった。
いざコミミが飛んだ、となると慌てて三脚にセットしたカメラに殺到する姿もまあ微笑ましいと言えるレベルだし、こちらもそれどころでない状況なのは、側から見れば多分同類。
ただちょっと問題だなと感じたのはその探鳥地に通って三回目ぐらいの時。
その日はいつになくバーダーの数も多く、こちらが駐車している農道とは畑1区画離れて並行する左手道路側に多くの車が停まり、カメラマンだけでなく本物(?)のバーダーが双眼鏡を持って右往左往する姿が目立った。
ここ数回の観察からバーダー達の撮影ポジションの選定はその都度違うようで、比較的多くの人が集まるエリアとあえて単独で離れた場所に位置を定めるバーダーとまちまちだが、とにかくこう言った鳥マニアの人たちは横の繋がりがしっかりしているのか、特定の情報に基づいて一箇所に溜まる傾向があるのではと推測してるが、実際はどうなんだろうか。
そういった場所では出現率もそれに応じて高いようにも見えるので、そこは経験や情報交換の賜物かもしれない。
さて待つこと30分ぐらい、コミミが出現。
前方の森の際に沿ってゆっくりと飛翔。そのまま直進すればこちらの正面に来る形になるので緊張して待っていると、やがて右に逸れ、そのまま草地に舞い降りて捕食の動作をしたり再び舞い上がったりして周囲を旋回し始めた。
こちらからは距離があるのと、当のコミミがススキの陰に隠れながらの行動なので、思うようにシャッターが切れずにイライラが募る。
その間左手の道路沿いにいるバーダー達は一部の大砲レンズ所有者以外は流石になすすべもない様子で眺めるばかり。
再び舞い上がったコミミは悔しいことにこちらを避けるように大きく右に迂回しながら後方へと飛び去って行った。成果なし...。
通常このパターンだと後方を大きく右旋回しながらやがて後方左手の林に沿って再び前方に回り込むのが普通。
なので左手に陣取ったバーダー達の側を後方から右にすり抜けるように飛ぶはず。
それが分かっている人達は当然その時が来るまで飛翔コースを注視し、待機している。
だがコミミが出現して正面の草地で捕食行動を始めた途端、その中から辛抱できない輩だろう、2名ほどが慌てて車に飛び乗り、コミミのいる場所へ移動を始めた。そして降車後撮影態勢に入ったところでコミミが周回コースに沿って飛翔。それを追うように再び乗車した彼らはこちらの待機している道路脇をかなりの速度で走り抜けて行った。
バックミラーで見ていると停車しては撮影行動を繰り返し、とうとう元の位置まで一周。
その辺りには徒歩でコミミを追うバーダーも交錯するので、見ているこちらがヒヤヒヤするほどだ。
また徒歩のバーダー達もコミミの飛翔に合わせ大慌てで行ったり来たり。
まさに「コミミ狂想曲」(狂騒曲?)。滑稽極まりないというべきか。
良く閲覧している鳥関係のブログがあるが、その投稿者の方が「追えば追うほど逃げて行くのがわからないのかな」と嘆いていたが、確かにこれではコミミもたまったものではない。
中には同様のブログでコミミを追い回すある特定の人物が車種やナンバープレートの県名まで晒されるという事案も見られる。
貴重な鳥類を気に入ったシーンで且つ出来るだけ接近した写真を撮りたいとは誰でも願うことだけれど、相手が野生動物であること、捕食活動を含めた生活の場に踏み込んでいるという認識は最低限持つべきだろう。
ローインパクト。これが自然と向き合うナチュラリストの基本。
まあナチュラリストと言う自認があるかどうかは疑問ではあるけれど。
「人の振り見て我が振り直せ」。こちらもますます気を付けよう。
※画像は全てトリミング、RAW現像済み
使用機材:Canon EOS 7D Mark II + Canon EF500mm F4L IS USM
上記記事とは別の日に撮影できたコミミズク。(30%にトリミング)
一度飛翔が終わり、遠くに飛び去った後多くのバーダーが帰るか移動した後に再び戻ってきたチャンスで運良く撮影できた写真。(30%にトリミング)