年が明け、本格的にEF500mm F4 L IS USMを常用するようになって、その尋常ではない重さにも慣れてきたところです。とはいえ一日中振り回せば、当然のごとく午後には両腕とも萎えてくるのは仕方がありません。翌日の筋肉痛も筋力アップの過程と思えば、何とか我慢できるのは不思議ですね。
ただ一つ問題となるのは、コハクチョウやコミミズクの飛翔を撮る際に、大砲レンズ所有者はほとんどが三脚使用だということ。
どう考えても手持ちと比べ自由度が制限されるので不利な気がしますが、手ぶれ補正が付いているとはいえ手持ちでの大砲レンズの重さによるデメリットに比べ、出てくる画像に大きな違いがあるということでしょうか。
確かに手持ちで撮った画像は輪郭が滲むものが多い気がします。
これが遠距離よるものなのか、レンズやボディ性能によるものなのか、はたまた固定が不十分なためかいまいち検証ができません。
多分それらの要素が複合しているのだろうとは思いますが、三脚使用でそれがある程度改善できるのならそれはそれで一つの解決策です。
ということでレオフォトのビデオ雲台BV-15を購入してみました。
以前も書いた通り、探鳥地で大砲レンズを並べているセレブ中高年たちの御用達は、三脚はジッツォのシステマティックカーボンシリーズ、雲台はザハトラーと締めて30万円クラスのものばかりですが、そんなのに張り合う財力を持たぬ身としては、三脚は手持ちのスリックのプロ500 DXⅢ N。雲台のみやはり手持ちのスリックSVH-501では全く役不足なので、何とか手の届くBV-15の購入に至った次第です。
当然ながら購入前に様々レビュー等読み漁ったのですが、発売から間もないこともあり十分な情報はありません。それでも短所よりもそのコスパが決定要因となりました。
ここだけの話ですが...、今回購入した製品は散々ネットサーフィンした挙句、某ネットショップで通常価格(定価ではありません、あくまで一般の流通価格)よりも¥7,000近くディスカウントしていたのを目ざとく見つけ、中古オークション価格と同等で手に入れました。定価より¥20,000以上安い!
やはり信念が大事です(笑)。
鳥以外で数回使った感触として、やはり問題点も多少はあるようですが、それなりの性能のプロ500 DXⅢ Nとのマッチングでは十分すぎるスペックだと感じました。
そして嬉しいことにEF500mmの野鳥撮影に関する記事を検索していたところ、なんと野鳥写真家の戸塚学さんが使用している写真が掲載されているではありませんか。
三脚までは確認できませんでしたが、雲台はBV-15。さすがにボディはR3やR5でしたが、レンズはもはや旧世代のEF500mm F4 L IS USM( いわゆる1型)。
プロとはいえ最新機種ばかりに走るのではなく、古い機材も大切に活用する姿勢に、一気に近親感が湧きました。
BV-15とEF500mmのマッチングの第一印象は以下で。
一度しっかり撮り鳥で使ってみます。
どこで購入したかはすぐに分かりますが(笑)。当たり前に検索してもだめ...。
箱を開けるとこんな感じ。
本体。造りはしっかりしていて工作精度は良さそう。
各パーツを並べてみました。
思ったより大きく重いです。チルトとパンの固定レバー側。下の刻みの付いた部分がパンテンション調節ダイヤル。最大に緩めてもかなり硬い印象。使い込めば緩和するのか。
チルトテンション調節ダイヤル、プレート固定ネジ側。パン棒の固定は左右どちらでも可能。
上面とパンテンション調整ダイヤルの上には水準器が装備されている。これがあるお陰で専用のレベリングベースを挟まなくても、時間に余裕があれば簡単に水平出しができる。
下面。三脚に固定する雌ネジが埋め込まれているが、U3/8規格。これを確認せずに購入し、あたふた。
クイックリリースプレートはアルカスイス互換。
固定ネジはU1/4とU3/8のダブル仕様。大型望遠レンズには必須。ただしかなり締め込まないと緩むかもしれない。U1/4ネジ用のカメラボディや三脚座の場合は注意が必要。
パン棒。今のところ使っていません。
これがダブルネジアダプター。開封日に急遽注文し、翌々日に到着。¥873。
変換ネジのおかげでようやくセット完了。雲台そのものの強度は問題なさそうだが、三脚側のU1/4ネジの強度が心配。チルトのテンション調節を最大負荷にしても自然状態では前傾する。写真はロックした状態。
EF500mm+7DⅡだとプレートを後方にストップするまでスライドしてもフロントヘビーになる。バランスをとるには付属のプレートではなく、長めのクイックリリースプレートかロングレンズサポートで調節するのが望ましい。
チルトテンションダイヤルをフリー方向にセットした状態。EF500mm+7DⅡの重量約4.8kgだとカウンターバランスは全く効かないので、振り回しの自由度と最低限のテンションを確保するにはこれが限界。これでも手を離せばかなりの速度でレンズが前傾し、三脚に激突する。ダイヤルには何段階かのクリック感がある。
逆に許容限界の振り回しの自由度を保ちながらレンズの急激な前傾を回避するテンション位置はここ。この場合手を離してもじわじわと前傾するが三脚にはソフトランディングするので、レンズのダメージはほぼ無いと思われる。ただし操作目的によってはかなり硬いと感じるかもしれない。
両者の中間のポジション。操作性は良くなりレンズの前傾速度もほどほどに抑えられる。写真ではあえてプレートの取り付け方向を逆にしているが、パン棒を使用しない場合は前傾角度(通常の使用方向では後傾角度)が浅くなり、三脚パーツに接触しないため最も安全と言える。
プレートを通常方向にセットしてロックを緩めた場合、ここまで前傾し、三脚のラバー部にぶつかった。
同様に後傾させた状態。フロントヘビーの機材では自然とこうはならないが、プレート+レンズを逆向きに装着すればこの位置で止まることになる。
今回実地に使用したのはEF100-400mmを使っての列車撮影だったが、他のレビューにもあったように、冬季はオイル粘度の影響か、特にパン側の滑りが硬いのが気になる。一緒に調節ダイヤルが回ってしまったり、三脚座がU1/4ネジ一本の固定方式なので、ここが回ることが多かった。締め込みが緩いと三脚に対し本体が回ってしまうこともある。使い込みにより改善されればと思うが、どうだろうか。
機材対荷重は10kgということで安心感があるが、カウンターバランスは2〜3kgということなので5kg近い組み合わせでは当然無理な相談。ただしレンズサポート付きのロングタイプのプレートでも付けてバランスを取るだけでも多少使い勝手は向上するかもしれない。
今後の検証を待ちたいと思います。