週末の山行以来風邪がぶり返し、体調が良くないので、昨日今日は休養日とする。
簡単なデスクワーク以外は主にiphonでYouTubeを聞いて過ごしている。
もちろんYouTubeなんだから「観て」過ごす訳だが、ほとんどが音楽映像ばかりだから、半分は「聞いて」いる訳だ。
「カッチーニのアヴェ・マリア」。この曲に出会ったのは2年くらい前、明確な記憶ではないけれど、多分NHKFMから流れた演奏だったと思う。
というより、その頃の新しい音楽の情報源はほとんどNHKFMだったのだから、間違いないだろう。
すぐにYouTubeで検索してギター演奏版を聴いたけれど、パソコンの不具合で間もなく視聴不能となってから耳にする機会も全くなくなっていた。
そんなカッチーニが再登場したのはガイドからの帰途、たまたま立ち寄ったCDショップで平原綾香の「Myclassics」を手にしたとき。以来中でもこの曲を繰り返し愛聴するようになった。
ただ悲しいかな、人の心は移ろい易く、あれほど恋い焦がれた相手でも三日といわずともある程度の期間一緒に暮らすと飽きることがあるように(まあ他の人は知らないけれど)、この頃ではちょっと食傷気味リストに入っていた感があった。
そんな曲が再び復活したのはiphon4Sを購入してようやく使えるようになったついこの頃。試しにYouTubeを検索してJisongの演奏に出会った時だった。
この日本の音大卒の経歴を持つシンガーは純粋な声楽家という訳ではなく、クロスオーバー路線を歩んでいるようだが、このPVに関してはその清楚な容貌と清潔感のある透明で伸びやかなソプラノで東洋人の琴線に激しく訴えるものがあったのだ。
この演奏に刺激され、シャルロッテ・チャーチやカトリーヌ・ジェンキンス、アンドレア・ボッチェリと聞きまくり、デイヴィド・DQ・リー、スミ・ジョーに至って「カッチーニ遍歴」は一段落するかに見えたが、最後に奥村愛のヴァイオリン演奏が登場するにあたってクライマックスとなった。
(奥村愛のちょっと不機嫌な感じのCoolな顔がいいね!)
どの演奏も感動する。
そしてこの中の三者が韓国系アーティストであることも不思議な符合だ。
特にスミ・ジョーはそのコロラトゥーラの突き抜け感が凄まじいほど官能的。
遠ざかっていたクラッシックに再び戻りたいと思わせる素晴らしい出来である。
作者としてその名が付けられているジュリオ・カッチーニはルネサンスから初期バロックに活躍したイタリアの作曲家だそうだが、実はこの曲は一種の偽作で、ロシアの作曲家ウラジミール・ヴァヴィロフ(1925~73)の手によるものだという。
そういわれてみれば旋律の合間にグリーグやシベリウス、チャイコフスキーなどと同様の北国の哀切感が漂うようでもある。
1990年代前半までは全く知られていなかった曲で、1972年の初録音の際は「作者不詳」とされていたらしいが、ウラジミール・ヴァヴィロフ没後、カッチーニ作として紹介され、カウンターテナー歌手のスラヴァなどによって広まったらしい。
繰り返しになるが、どの演奏もとても素晴らしい。
是非一度ご視聴ください。