連休の中日、公募ツアーのコース下見を兼ねて御坂黒岳に登った。
まずは御坂トンネルから板取沢に沿って日影の凍結路を行く。
この時期にも登る人は多いようで、しっかりとトレースが付いているが、それがかえって路面を磨き上げてノーアイゼンでは滑ること甚だしい。
変な見栄からアイゼンを我慢して南尾根へ通ずる斜面を斜上してゆくとようやく日の差す稜線に合した。
小さなアップダウンをこなして最後の急斜面にかかると日差しも相まって汗が噴き出す程だ。
元気な青年達とすれ違って、右手に三ツ峠が木の間に透ける辺りで最初の展望地。
富士の姿が光芒を纏って半霞に美しく輝いている。
そこから僅かで山頂手前の広い展望地に着いた。
既に先客が数組陣取っている。
仕方なしに山頂の三角点まで進む。小春日和のような日差しはほっとする程暖かかった。
一人ゆっくりと昼食をとる。
三々五々登山者が挨拶を交わしながら傍らを過ぎてゆく。
広瀬へ、新道峠へ、そして下山路として使う予定の御坂峠へ。
未だ暖かい日差しを惜しみながら、山頂を後にする。
主稜線は柔らかい雪で覆われトレースは優しく歩き易かった。
峠からトンネルへ下る旧道に入るとすぐに雪は消え、路傍の古い観音だけが午後の日差しを浴びて寂しげに佇んでいた。
実は今回とても珍しい経験をした。
山頂から10分程手前にちょっとした露岩のある展望スペースがある。
そこで二度目の撮影をして歩き始めると前方から人が降りて来る。
金髪のロングへアーにミニのセイラー服姿の女性。
こんなところに女子高生?
一瞬我が目を疑うが、コスプレ好きのグループでも来ているのかとすれ違いながら挨拶した。
ところがよく顔を見るとなんと中年のおじさんであった。
化粧こそしていないが、綺麗にひげを剃り、おまけに足まで脱毛して、中々の美脚である。
好撮影地と教えられた場所に行ってみると、そこにはザック、登山靴にアイゼン、そして登山ウエアが入った袋が置いてある。
手に三脚とカメラを持っていたことを考え合わせると山を背景に自画撮りを趣味とする女装マニアだったんだろう。
この多様な趣味が氾濫する時代、女装そのものには別段驚かないが、とうとうこんな山上まで登って来たのか、との想いは温暖化による森林限界の上昇とそれに伴う高山植物の減少をも想起させて、心中中々に複雑なのであった。

凍結した日陰道。

広瀬からの道に合する。

富士が綺麗だ。

木の間越しに三ツ峠。

山頂南面はかなりの急登。

王岳へと続く御坂主稜線。この写真撮影直後に「女子高生」と遭遇。

山頂手前の展望地からの富士山と河口湖。

山頂で昼食。標識の上にカップ麺。

ここは一等三角点。

主稜線の登山路は歩き易かった。

閉ざされて久しい峠の茶屋。

昔日の面影が残る古き峠道。
