事務所のある北杜市近郊では住宅地にニホンジカが現れることも珍しいことではありません。
比較的標高の高い場所にある別荘地などはその典型ですが、もっと低いエリアにある市街地や村落にも当たり前に出没しているようです。
今年の初めに珍しく小海線に乗る機会がありましたが、途中鹿の群れが線路を横断し、列車が警笛を鳴らしながら徐行運転をする場面に遭遇したこともありました。
彼らは直接人と出会うことを極端に警戒しますが、乗り物にはさほどの警戒感を抱きません。
そのため夜間に道路の真ん中で走ってくる車のヘッドライトなどをじっと見ている個体を見かけることが冬期などはよくあります。
その結果事故死する鹿も後を絶たないことになります。
つい先日の夕方、何気なく窓の外を見ると事務所向かいの牧草地にニホンジカのオスの群れがあらわれました。
群れといっても3頭でしたが、雨が上がったばかりでまだ少し霧も残る中から忽然と現れたかのようなその姿は大振りな角も相まって迫力満点。急いでカメラを持って外に出ました。
牧草地との間には隣接する市営住宅への取り付け道路があり、車の通りも多い場所ですが、前述の通り、車の行き来にはさほど関心を持たない様子です。
その手前にはイチイの生垣があるので、しばらくこの陰から様子を伺うことにしました。
最初は2頭、まだ袋角ですが、大きな角を持った牡鹿がゆっくりと牧草を食みながら近づいてきます。
それでも距離は50m以上。この距離では解像感のある写真にならないのでじっと辛抱の時が続きます。
すると突然3頭目の鹿が後ろから飛び出してきました。これに気圧されたのか最初の2頭も前に駆け出し、こちらとの距離がぐっと縮まりました。
その後前方を横切る車にも対して恐れる風もなく前進。いい感じで接近してくれていますが、まだ十分な距離ではありません。
それでもこの後何があるかわからないので、抑えで数枚シャッターを押しました。
あとは彼らの順調な前進を待つばかり、と思っていると背後でドアの開く音が。
運悪く家人が出てきた音に驚いたのか、折角近づいた鹿達に10mほどバックされてしまいました。
一旦警戒するとその後は簡単には寄りません。
じっと待ちたいところですが、夕暮れ時で撮影条件は悪くなる一方なので諦め、撮影の障害になるイチイの陰から体を現して、彼らが棒立ちになったところをまた数カット撮影しました。
決して満足のいく画質にはなりませんでしたが、久しぶりの牡鹿との出会いに常ならぬ興奮を覚えたひと時でした。
※画像はノートリミング、RAW現像済み
使用機材:Canon EOS 7D Mark II + Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
立派な枝角を持った牡の勇姿。イチイの葉陰からなので前ボケも効果的ですが、如何にせん距離が遠すぎます。
ちょっとこちらに気づいたかな?匂いを嗅ぐ風の仕草です。
だいぶ近づいてきました。ただちょっと背景がいまいち。後ろに県道も通っています。
これは一旦退かれた後、こちらが姿を見せた時のもの。じっと固まっていますね。
写真では分かりづらいですが、4歳を過ぎた牡の成獣は体高も高くとても立派です。夏毛の鹿の子模様もはっきりしています。