二日目は早朝から大河原峠に移動し、久しぶりの北八ヶ岳ハイクの準備に取り掛かります。
7時40分に峠の駐車場に到着しましたが、すでに近いところは満車。一番奥に数台のスペースが空いていたので何とか路駐だけは免れました。
それにしてもお盆休み期間とはいえ山人気も凄まじいものがあります。
池巡りへの登山者もそれなりに居るのかなとは思いましたが、ほとんどは蓼科山狙いなんでしょうね。
水はスポーツドリンク粉末を溶かし込んだ1.5リットル。
あとは昼食にコンビニおにぎり2個、その他行動食、一眼レフカメラ2台、一脚という装備。
雨後のぬかるみを想定してロングスパッツを着用しました。
ただこの日見る限り、そんなものを着けているのは一人だけ。
双子山までの笹に覆われた登山路ではそれなりに効果はあったものの、トータル的には無くても良かったかもしれません。
近年登山者の服装も装備も隔世の感があり、少し前の泥汚れを嫌う「ほとんどいつもスパッツおばさん」の姿は消え、足回りもローカットシューズが目立つ「おしゃれヤング」が台頭してきていることに驚きました。
とはいえ足回りの汚れも気にかかるので、次回からはもう少し控えめなトレラン用スパッツでも検討してみたいと思います。
蓼科山登山者の群れと別れ、一人双子池を目指して出発。
しばらくは前述の笹に覆われた水路化した登山道を行きます。
やがて草原地に出ると以前訪れた記憶が少しだけ蘇りました。
右手の矮小化したシラビソの枝に何かの鳥が群れ遊んでいましたが、逆光で暗く判別不能。
撮影叶わず。
記憶にはない樹林を再度潜り抜け、草原状の双子山山頂に到着です。
この日は穏やかでしたが、明らかに風の通り道とわかる風下側に枝の靡いた黒木が点在する荒涼とした風景。
おかげで北横岳から大岳、縞枯山方面がよく見えました。
ここから双子池までは一気に降ります。
一部の箇所は両側から繁茂した笹に覆われ、身長の低い人には過酷な道です。
こんなに降ったかなと思うほど降って、ようやく双子池に到着しました。
実はこの池は今回で三回目。
最初はなんと1998年の7月に麦草峠から雨池、双子池、戻って縞枯山、茶臼山、麦草峠と周遊した際立ち寄りました。
成人後登山を始めた翌年のことです。
二度目は2011年の11月。
この時は山口耀久氏の「北八ッ彷徨」を読んだばかりで、その中に収められている「落葉松峠」というエッセイにいたく感動し、訪れたと記憶しています。
14年ぶりに再訪した感想はというと、「こんな感じだったかな?」というのが正直なところ。随分水が減ったような、どこか神秘性が薄れたような、そんな印象でした。
それでも頑張って担いできた風景用のカメラを取り出し、しばし撮影。
双子山山頂から見た際に大岳の裾野が盛大なガスに巻かれていたので、もしや双子池にもガスが残っていたら絵になるのではとの期待も、着いて間も無く綺麗に晴れて白日の元に晒されるという残念な結果に。
それでも「雌池」の方の人工物のない風景はまずまず楽しめました。
雌池の池畔はテント場とハンモック場になっていて多少の整備は入っていましたが、個人的にはあまり快適とはいえないように感じました。
そもそもお盆休み期間中にもかかわらず、途中で会ったのは昨晩テント泊したという登山者一組のみ。
どうやら小屋泊の方もいない様子でした。
今回の目的はここから「亀甲池」を経由して天祥寺原までの未踏のルートを辿ることも含まれています。
軽く行動食をとって亀甲池へ向かいました。
亀甲池までは途中尾根を越える必要があります。
雌池池畔からは70〜80mぐらいの登りです。
ただし昼なお暗い谷状の地形に加えて倒木が道を塞ぎ、それをチェーンソーで処理しながら登山道が作られているので変則のアップダウンが酷く、なかなかの難路でした。
尾根を越えると多少道も良くなり、間も無く亀甲池に到着。
雌池からは二人の登山者に出会っただけでした。
ここで大休憩をとり、昼食。
のんびりしていると池の対岸に近いあたりに数人の人影が現れました。
距離があるので判別は難しいのですが、北横岳から降りてきた中高年登山グループのようです。
昼食を終わり、池の撮影に取り掛かります。
この池もさらに減水していて、有名な亀甲模様は結局確認できませんでした。
撮影中に登山グループも立ち去り、静寂の山上池独占です。
とはいえ、この後大河原峠への登りも控えているので、程々に重い腰を上げました。
天祥寺原までは思いのほかいいルート。
途中数組のハイカーに出会いましたが、どなたも双子池方面へのルートを計画しているようだったので、たっぷり途中コースの悪路ぶりを宣伝しておきました。
天祥寺原から大河原峠までは既知のコースでしたが、思ったより荒れておらず、変化もない代わりにさ程の負荷も感じずに歩くことができました。
山を下ると相変わらずの猛暑。
この日も早々に日帰り温泉で汗を流し、ネットカフェで涼んで宿泊地の霧ヶ峰へと戻りました。

大河原峠の手前で現れたカモシカ(羚羊)。

運転席の窓から近距離で撮影できました。今回の一番の一枚です。

双子山の山頂標識。

ここから展望する北横岳。

山頂付近の草原。荒涼とした風衝地です。

北横岳から尾根続きの大岳。2012年の2月にスノーシューで北横、大岳、三ッ岳と周遊した思い出があります。積雪期しか歩けません。

盛んにガスが湧く山裾。手前のシラビソの枝ぶりで風の強さが推し測られます。

縞枯山方面も良く見えました。

双子池に到着。14年ぶりです。

着いて間も無くはこんな感じで曇っていたのですが...。

しばらくしてしっかり陽が差し込んできました。

小屋の下にあった古びた仁王像。

地蔵尊も頭に地衣のカツラを付けていました。

雌池です。多少神秘性が感じられます。

反対方向。この右手の池畔がテントサイト、ハンモックサイトでした。

ここでようやくウグイスに出会いました。この日の唯一の野鳥写真です。

亀甲池までの登山道脇に生えていたタケシマラン。実も熟していました。

フジノマンネングサも多く見かけました。

亀甲池で暫し休憩。池畔の柳の老木がやけに気に入り、アンダー気味に撮ってみました。

渇水気味の池。場所的に神秘感はありますが、対岸の木立の反映も絵になるので、できればもう少し水量が欲しいところです。

うろ覚えですが2002年に竜源橋からここ経由で大河原峠、蓼科山、下山は女の神茶屋で周遊したはずです。(追記:気になったので古い登山手帳を漁って確認したら9/22に女乃神茶屋登山口から登り、山頂、蓼科山荘、大河原ヒュッテ、天祥寺平、竜源橋、女乃神茶屋と回っていました。自宅発が8時44分で、駐車場着が10時43分。スタートが遅くなるので七合目登山口までは回らず、最寄の登山口からスタートしたということでしょう。9月下旬に11時近くに登山開始とはなめ切ったものですが、いきなり山頂直下の長い直登でしっかりやられたのを覚えています)

大河原峠にはこんなお店ができていました。入りませんでしたが、食料品やグッズなどが置いてあるように見えました。