前回投稿から大分間が空いてしまいました。
居住地が山麓の高原エリアとはいえ、連日の猛暑で外に出かける気も起こらず、かといって事務所周辺の野鳥も居着きのジョウビタキ以外は姿も見えず、勢い撮影も滞っていました。
そんな中お盆休み中に三日ほど体が空いたので、不本意ながら混み合うのは承知で草原のノビタキと北八ヶ岳の池巡りに出掛けてきました。
今回行動したのは標高1600mから2200mの範囲でしたが、特に涼しいということもなく、周囲に樹陰のない草原地帯ではしっかり暑さにやられてきました。
それでも馴染みのエリアでも未踏のコースを体験し、また多少なりとも山の息吹にも触れられて、まずまず充実感のある休暇となったようです。
まずは初日の霧ヶ峰から。

9時頃霧ヶ峰のいつもの駐車場着。まださほど混んでいる様子もなく、ゆっくりと支度をして探鳥場所へ移動。ノビタキはそれなりに飛び交っているように見えますが、近くには寄らず、他のCM(カメラマン)の姿は皆無。どうも出は良くないようです。仕方がないのでシシウドで吸蜜するエダシャクの仲間を撮ってウォーミングアップ。

この場所は咲き残りのヤナギランが点在し、辛うじて花止まりが撮影できるできる可能性があるのですが、ちっともやって来ません。仕方なく花のみ撮ってみました。

ヤナギランの他にもハンゴンソウやシシウド、枯れかけたコバイケイソウ、ノハラアザミなど舞台装置はそこそこあるのですが、なぜか花には直接止まらないので、無理やりハンゴンソウとコラボさせてみました。ススキがちょっと邪魔ですね。

やはりこの時期は鳥ではなくて蝶ですね。ノリウツギの花にジャノメチョウ。

いつまで経ってもノビタキが近寄る様子もないので、花止まりは諦めてレンズも500mmから100-400mmに交換して今回の目的の一つ霧ヶ峰の稜線周遊に出かけました。すると稜線近くの岩場で盛んにノビタキが絡んでいる場所がありました。先行者のCMもいてニコンの600mmか何かで、10〜20mぐらいの距離で盛んに撮っています。こちらは少し距離が足りないので、×1.4のエクステンダーを挟んで撮ってみましたが、さすがに炎天下では大気の揺らぎの影響がひどく早々に撤退。80%トリミング。

その後車山肩を越えて南の耳、北の耳を繋ぐ未踏の稜線コースへと歩を進めます。霧ヶ峰は何度も訪れている場所ですが、なぜかこの稜線だけは歩いた記憶が無く、たぶん初踏です。コロボックルヒュッテは流石にお盆休みとあってウェイティングの長蛇の列でした。車山山頂への分岐から少し進むとノビタキの小さな群れが集っている場所がありました。相変わらず警戒心が強く、近づくとすぐに飛んでしまうのですが、しばらく佇んでいたら1羽の幼鳥が目の前の枯れ枝に止まってくれました。80%トリミング。

さらに進んだ小ピークで昼食。この日はさすがに人も多く、他のグループも三組ほど休憩中でした。これから辿る稜線がよく見えます。写真は南の耳を遠望。左下のリフトはエコーバレースキー場のもの。

こちらは北の耳。少し怪しい雲が降りて来ていますが、幸い周遊を終えるまで雨は降りませんでした。

南の耳へ向かう途中から蝶々深山の稜線を遠望。こちらもそれなりの数のハイカーが歩いていました。

季節的なものかも知れませんが、このコースは花の少ないのに驚きました。ササも目立つのでその侵入と乾燥化、気候変動も影響しているかも知れませんね。唯一コウリンカの群落があったので記録的に撮ってみました。

南の耳に到着。ここまでで結構バテ気味です。とにかく暑い!

三峰山方面。山腹の緑が綺麗です。でも草原ではなく笹原なんでしょうね。

鷲ヶ峰方面。

越し方を振り返って。地形がよくわかります。台地状の稜線の左端の一角で昼食をとりました。右上の稜線を辿ると車山山頂です。南の耳からは北の耳に向かっての下りが急で、滑ること夥しい。要注意です。

北の耳に到着。中央分水嶺トレイルの標識です。シンプルですがいいデザインですね。

北の耳からはしばらく下り気味に進みます。ちょっとだけ楽になりましたが単調なルートなので面白みも無し。正面に男女倉山が見えて来ました。このピークは以前からある理由で気になっていた場所でもあり、今回楽しみにしていたのですが、この直下の短い登りが耐え難いほど苦しいものに感じました。

山頂からは八島湿原方面が見渡せます。

こちらは北面の懐かしの高松山。2016年に所属していたガイドクラブで公募ツアーを主催した際虫倉山と繋いで歩いたコースです。今は亡きガイドの先輩との思い出の山でもあります。

山頂標識。ここには「ゼブラ山」と表記されています。本来の名前の「男女倉山」というのは北に流れる「男女倉沢川」の源頭に当たるために名付けられたと思われますが、戦後何らかの理由で「ゼブラ山」とも呼ばれるようになったようです。このピークはかつて男女倉集落から八島湿原を抜けて諏訪方面に至る峠道が通っていて、「男女倉越」とも呼ばれていたようです。そもそも「男女倉」という少し怪しさも感じられる村名の由来については、以前読んだ田部重治の紀行文「山と渓谷ー美ヶ原と霧ヶ峰」に現地の人の話として、「新開地ゆえ、村の人口を少しでも早く増やすために、男女を倉の様な場所に入れた」という趣旨の来歴が紹介されていました。こんな少し特異なエピソードを持った山名に倫理的な違和感を覚えた当時の県の役人か誰かがビーナスライン開通に際して「ゼブラ山」という何のゆかりもない名称に改名したというのが真相といったところでしょうか。確かに車山肩あたりから眺める北方の稜線とその裾に広がる草原をアフリカのサバンナに見立てることも出来無くはないとも言えますが、男女倉山がシマウマとどう関係するのか、それを連想する縞模様が斜面のどこかに見られるのか、理由を知りたいところです。

トイレのある鎌ヶ池の分岐まで来て小休止。傍には実を付け始めたミズナラが。

ここから旧御射山までは平坦な林道歩き。再び撮影の再開です。日差しを浴びたシシウドが綺麗でした。

キンミズヒキも絵になる構図で撮るのは意外に難しい。

コオニユリにアゲハチョウ。

メタリックカラーのカラスアゲハも。この後旧御射山から沢渡りまでの林道で幼児を背負子で背負った若い爽やかなご夫婦に追い抜かれました。特に早足ということもないのですが、それでも流石に追いつけないとは情けない限りです。

沢渡りの分岐まで来ると突然ホオジロが目の前に飛び出して来ました。今回の最短撮影距離です。最後のご褒美でしたが、この後の周遊終点の稜線分岐までの登りはかなりの急登。休み休みようやく登り切りましたが、翌日のトレッキングが心配になるほどの疲労感。
予想外に大汗をかいたので、車に戻ったのち麓の日帰り温泉へ。予定していた施設は休館日。次の施設は満車で駐車できず、仕方なくかなり離れた温泉施設でようやく汗を流すことができました。まったくやれやれの初日でした。