所用で埼玉方面に出かける機会があり、そのついでに以前から行きたいと思っていた渡良瀬遊水地を訪ねて来ました。
渡良瀬遊水地は2012年にラムサール条約に登録されて一躍脚光を浴びたのを覚えていますが、これまで訪問の機会もなく、最近になってコミミズクの撮影地であることが判明し、バーダーのブログにアップされたかなり近くで撮影した写真なども見るにつけ一度は訪れてみたいと思っていました。
そもそもこの遊水池は足尾銅山の鉱毒問題の解決策の一環として鉱毒を沈殿させる目的で整備されたとのことです。現在は野鳥を始めとした野生動物の楽園となっているこの一帯にもこのような環境問題の原点ともいうべき背景があったとは思いもよりませんでした。
現在は鉱毒の流入は減少しつつあるようですが、すでに沈殿している重金属はかなりの量が土壌に含まれていることを考えると、人間も含めたこの周辺の生物への影響も気になるところです。
今回は出発が昼近かったので、現地着が夕方になってしまい、その日は入口近くを偵察のみ。
道の駅「童謡のふる里・おおとね」で車中泊です。
中央エントランス付近にも道の駅「かぞわたらせ」があるのですが、遮蔽物の無い施設脇の道路を大型トラックが頻繁に高速で通過するので、敬遠しました。
翌日は天候に恵まれず、朝から小雨が降り続く空模様。止むタイミングもありますが、中々ビニール傘が手放せません。
それでも中央エントランスから東谷中橋まで谷中湖を横断し、それからは北水門を経由して湖の約半分8kmを周遊しました。
そもそも下調べもろくにせず、行き当たりばったりで出かけたのが悪かったのですが、まずショックだったのは、何と谷中湖に水が無い!
これは2月中旬から3月下旬に掛けて水抜きをし、ヘドロや藻などが原因の夏期の悪臭などを防止する「干し上げ」という作業によるものだそうです。
また時期的にも冬鳥は北帰の時期でもあり、夏鳥はまだ多くが入って来ていないわけですから、当然探鳥そのものも不守備に終わらざるを得ません。
後で知ったのですが、谷中湖に水が入っていれば水鳥もそれなりに見られたと思いますが、どちらかというと探鳥ポイントは「第1調整池」「第2調整池」「第3調整池」といった湿地帯に多いようで、今回歩いた湖畔周遊コースよりもだいぶ北に寄ったエリアのようでした。
今回一番のお目当てのオオタカやハイイロチュウヒ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、コミミズクなどの猛禽類はどうもそちらに多いようで、よりによって的外れな場所を歩いたものです。
今回出会えた野鳥の中で一番フレンドリーだったのは、何とキジ。
数羽に遭遇しましたが、そのうちの二羽は比較的鷹揚な性格のようで、これまでに無い距離まで近づくことができました。
その後出会う鳥はどれも愛想がなく、レンズを向けただけで飛んでしまうし、たまにシャッターチャンスが来てもビニール傘が邪魔をして撮り逃したりでいいところ無し。
いずれにせよアウェイでの初戦はこんなものでしょう。
次回は冬鳥が渡ってくる晩秋に訪れてみたいものです。
ということで渡良瀬遊水地には愛想を尽かし、昼前に次の候補地の「多々良沼」に転進しました。(続きます)
※画像は記載のあるもの以外ノートリミング、RAW現像済み
使用機材:Canon EOS 7D Mark II + Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
谷中湖を横断する道路より北西方向を見る。すっかり干上がり、水鳥の気配もない。
先に進むと道路の脇に黒いものが見えた。動かないので何かの杭か、あるいはカラスか?400mmズームで確認するとキジだと分かった。10倍の双眼鏡も持参したが、接眼レンズが雨で曇って役立たず。
400mmテレ端だが、この距離まで近づけた。ノートリ。
南東方面には市街地が広がる。手前の水面はまるで干潟。
二羽目のキジ。こちらは少し距離があったけれど背中がよく見えた。80%トリミング。
行っては見なかったが、「ウォッチングタワー」というらしい。他に「鷹見台」という場所もあるらしい。
「子供広場ゾーン」付近から北水門方面を展望。残った水面にカモ類が群れていた。ここまでエントランス付近を除きウォーカー1名、ランナー1名にしか出会わなかった。鳥もさっぱりで、心もこの風景と変わらず、どんより。
周回を終える頃ツグミが群れていたのでローアングルで。こちらが屈むと警戒心が薄れるらしく、ずんずん近づいて来た。80%トリミング。