ここ2年ほどカメラが手放せない生活をしている。
言い換えれば車と共に人生で最も大切なパートナーといっても過言ではないくらいの存在となっている。
2020年のコロナ禍の真っ最中に体調を崩し、それ以降フルに体を使った仕事から離れざるを得ない状況となって、生活は一変した。
外部とのコミュニケーションも取りづらい中で唯一体に大きな負荷なく行えることといえば自宅を拠点とした野鳥撮影。リハビリの一環でもあったので当然といえば当然だが、これに随分救われた気がする。
そして少しづつ外にも足を向けるようになると、なぜか欲が出る。
機材が物足りないのだ。
無論写真家並みのプロ機材を揃える余裕はないので、程々手がとどく範囲ではあるが、少しづつ買い足してゆくことになる。
ただ昨今はリタイヤした高額年金生活者の皆さんがプロ顔負けのハイエンド機材を山ほど買い込み、大手を振るって探鳥地を闊歩してるので、中古のハイアマチュア機やミドルクラス機では肩身がせまい思いをするのは致し方ないけれど。
現在メイン機の「EOS 7D markⅡ」も購入当初は鳥撮り初心者には十分な性能だったが、もはや時代遅れの感も否めない。
この辺で世評は様々あるけれど「EOS R7」辺りに鞍替えの時期かと真剣に悩んでいる。
このカメラボディは発売から一年も経っていないので中古機も値が落ちていないのが欠点といえば欠点。このクラスでは比較的安価とはいえ、いきなり現金決済できる身分ではないので今回初めて手持ち機材を手放すことにした。
そんなこともあって、販売候補を決めるついでに改めて手元にある機材をかき集めてみたのでご紹介したい。
物心ついた時にはすでに家にあったもの。家族が買ったもの。自分で購入したもの。それぞれにストーリーがあって面白い。
スクロールが嫌になるほどの数はないのでぜひご覧ください。
Yashicaflex(ヤシカフレックス)
父が若い頃に使っていたもの。このカメラで撮った写真がかなり残っている。ブローニーサイズ(120サイズ)のフィルムを使用するタイプ。いわゆる6×6サイズの写真が撮れる。ネットで調べて見ると1953年あるいは1954年製の「旧B型」というタイプらしい。
いわゆる二眼レフで、フォーカスは繰り出し式。「シャッタースピードはB・1~1/300。トリローザ付き。フイルムは赤窓式のノブ送り」とのこと。
20代の頃モノクロフィルムで何枚か試し撮りしたことがある。操作も未熟だったためか写りはそれなりだったが、味わいのある写真が撮れたと記憶している。
特に故障箇所はなく、現在でも撮影可能だと思う。
KODAK Tourist Ⅱ
これも父が仕事先で外国人旅行者から譲り受けたと聞いている。ネット検索してもよくわからないが、コダック社が出していた旅行者向けの普及機なのだと思う。フィルムは120サイズを使用するようだ。
いわゆるスプリング式のカメラ。絞りはf12.5〜32。シャッター速度はT、B、Iの3種のみ。データがないので憶測だが、T=Timeでバルブ撮影的。Bはスローシャッター。Iは高速シャッターという感じ。レンズ周りに「FLASH KODON SHUTTER」という表記が入っている。
この機材で撮影したことはない。
PETRI V6
ペトリペンタ製。父が購入した最初で最後の一眼レフ。
Wikiによると「社名は輸出を考慮して新約聖書の「聖ペトロ」から命名された」そうで、今回初めて知った。購入当時ニコンもキャノンも高性能の一眼レフ機を出していたはずだが、父がこれを買ったのは多分「安かった」から。やはりWikiによれば「ニコンのカメラと機能は一緒で価格は半値」というコンセプトで売り出したらしいが、「安かろう、悪かろう」のイメージが定着して結局他社との競争に敗れたとのこと。10代の頃はこのカメラしかなく、「仕方がない」のでこれで撮った写真が結構ある。
Canon AE-1
自分で買った初めてのカメラ。購入時期は覚えていないが、1976年発売とのことだから20代半ば頃だろう。
キャノンミュージアムによると「AE-1は、設計の根本から見直し、5大ユニットと25の小ユニットに分け、それをマイクロコンピュータが中央集中制御する方式を採用。電子化により部品点数を従来機種より300点も減らした。また、生産にも自動化を大幅に取り入れ、高機能、低価格を実現した」とあるので、やはり安さが購入の決め手だったんだろう。親も親なら子も子である。
頻繁に使った記憶はないが、主にモノクロで風景写真など撮っていたように思う。いずれにせよ大した写真は残っていない。
先日電池を入れ替えてみたら問題なく機能した。50mmの標準レンズもカビもなくクリア。
Nikon F3 HP
2代目の一眼レフ。当時友人が持っていて、そのあまりの機能美に魅せられ、即購入したカメラ。
その頃は多少は羽振りも良かったに違いない。
今回改めて調べたところ、外観デザインを手掛けたのはイタリアのデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ。自動車デザインではフォルクスワーゲン「ゴルフ」、フィアット「パンダ」などを送り出し、日本では「いすゞ117クーペ」「いすゞピアッツァ」のデザインを手がけたことでも有名。ニコンのシンボルとも言える赤ストライプもこの機種から。さすがです。
この頃は主にリバーサルフィルムを入れて、山に持って行ったり、風景や花の写真を数多く撮ったりと、メイン機として活用。今でもその頃の未整理のポジが沢山あり始末に困っている。
現在も完動の高コンディション。レンズは35〜135mm、f3.5〜4.5のズームが付いている。
Nikon F70
フィルムカメラでは最後の機材。よく覚えていないが、オートフォーカスで連写もできるということで購入したんだろうと思う。
その頃下のタムロンの200−400mmズームを買っているので、もしかしたら野鳥撮影に目覚めた頃かもしれない。
またその頃開いていた絵画教室で子供達のスナップなどを主に撮った機材でもある。
同じNikon機でもF3に比べあまり愛着もなく、後年背面の保護ラバーがベタつき始めてからはほとんど触らなくなった。今回整理中に落下させてしまい、プラボディー故か背面のカバーを固定している蝶番部分が破損し、やむなく廃棄処分とした。
レンズはAF NIKKOR 28-85mm F3.5-4.5。こちらは健在。
TAMRON AF 200-400mm f5.6
上記理由で野鳥撮影用に購入。400mmという焦点距離は当時としては異次元の世界だったが、安価なズームということもあり、正直まともな写真は撮れなかった。
それでもリバーサルフィルムを使い手持ちで撮ったものがスライドとしてかなりの枚数残っている。
すでにAF Nikon機が手元にないので動作確認はできないが、多分使い物にはならないだろう。
PENTAX K10 D
時代的に必要性を感じて購入した始めてのデジタル一眼レフ。ここまで自前のものは全て新品購入。
NikonからPENTAXに乗り換えた理由は単純で、カメラ好きの友人に勧められたから。性能的にはCanonやNikonの方が優れていたかも知れないが、なんとなくPENTAXロゴとボディのデザインに惹かれたと記憶している。
この機材はデザインの現場で多用し、結果的に最も稼いでくれたカメラとなった。
長期使用のための不具合か、近距離でのフォーカス精度が悪くなり、多少後ピンになる傾向が出てきたのでメーカーに修理依頼したが、修理期間を過ぎていて部品がないとのことで返されてきため下のK5Ⅱsへと入れ替えることとした。微細なピントのズレを除けば、まだ使用に耐える機材である。
装着しているレンズはDA 16-45mm F4 ED AL。
望遠レンズがなかったため、野鳥は全く撮っていない。
PENTAX K5Ⅱs
上記理由で追加した機材。
K10 Dが有効画素数1020万画素だったので1628万画素は大きな進化だった。出てくる色もナチュラルで、K10 Dの少し黄ばんだ色味に比べればはるかに使い勝手がいい。
デザインの現場でも山でも重宝し、望遠ズームを購入してからは野鳥撮影でも活躍するようになった。
K5Ⅱsはローパスフィルターレスモデルなので、そのカリッとした表現はまさに野鳥撮影に最適であったが、風景撮影時の画素数の不足と階調感への不満から結局K3の追加購入へと至ることになる。
写真のレンズはオールマイティーに活躍してくれたDA 55-300mm F4-5.8 ED。
この機材の組み合わせから以降は全て中古購入となる。
野鳥撮影用に追加したDA★ 300mm F4 ED SMCを装着した状態。
DA 55-300mm F4-5.8 EDもオールマイティなレンズだったが、野鳥撮影には解像感といい、明るさといい物足りない部分が目立ってきたのでPENTAX単焦点では最長の焦点距離を持ったこのレンズを購入した。
K5Ⅱsを始め下のK3と組み合わせておよそ1年ほどメイン機材として使用。AF速度の不満からキャノン機に切り替えるまで実に高精細な画像を生み出してくれた。
この組み合わせで売却を検討しているが、手放すのは惜しいぐらいよく出来たレンズ。
写真には無いがフードも付属する。
PENTAX K3
K5Ⅱsの後継機で有効画素数が2435万画素にアップ。高感度耐性も向上し、精細でありながら柔らかい階調の画像が撮れるようになった。JPEG画像はPENTAX独特の色調が健在で、特に風景写真では高彩度の絵が出てくるのが魅力。
K3の後にはK3Ⅱ、K3Ⅲと後継機が出ていて特にK3Ⅲは有効画素数も2678万画素。連写速度も最高秒間12枚と食指が伸びるところだが、利用できる望遠レンズのバリエーションが少なく、現在の用途ではK3で十分というところだろう。
風景にはフルサイズ、というのが王道だろうとは思うが、PENTAXにしろCanonにしろ、フルサイズ対応の広角域をカバーするレンズを持たない状況ではいまのところ購入の見込みはない。
付属のレンズはDA 16-85mm F3.5-5.6ED DC WR。APSC対応レンズとしてはそれなりに描写力もあり、使い勝手も良い。
Canon EOS 7DmarkⅡ
この機材に関しては以前ブログで紹介しているので詳細は略す。
現在の野鳥撮影のメイン機であり、AF性能、測距点数、視野率100%のクリアなファインダーなど現在でも十分なスペックを誇るが、EF500mmを購入してから画素不足を感じる様になった。
そのためR7の購入を検討することとなったわけだが、ミラーレス機のファインダー性能がまだまだ開発途上なので悩ましいところである。
先日友人に最新のR6markⅡを触らせてもらう機会を得たが、出てくる画は素晴らしいとしても、そのファインダーの見え方にはかなり戸惑った。
いずれにせよ写真は出てくる画が全てなので商用利用者は結果を選ぶしかないが、写真を撮る楽しみは今のところレフ機が勝るので、当分は二台体制で運用したいと思う。
レンズはこれも紹介済みだが、EF100-400mm F4.5-5.6L ISⅡ USM。描写性能、AFスピード、携帯性、全てに優れた名レンズ。
Canon EF500mm F4L IS USM
このレンズについても最近紹介済みなので詳細は割愛。
重いけれど素晴らしい描写力を持っている。最近の高性能ミラーレス機でそのポテンシャルがさらに引き出されるということなので、ぜひR7で試してみたい。
Sony Cyber-shot DSC-TX20・Sony RX100Ⅲ・RICOH WG-60
最後を飾るのは登山ガイド時代に携帯していたコンデジ達。
中でもSony Cyber-shot DSC-TX20は最も活躍してくれたカメラ。
携帯性といい、防水性といい、写りといい大満足で、このカメラで撮った画像は山頂での集合写真以外にも風景や花まで多岐にわたる。
多分10年近く使い倒して、八ヶ岳のキレット付近で雨中起動しなくなったのを機にしばらくはスマホ撮影に切り替え、その後RX100Ⅲを購入したと記憶している。
RX100Ⅲはいわゆるアウトドアカメラでは無いが、防塵防滴表記は無くても、結構ハードな環境でしっかり活躍してくれた。
ただし使用期間は短く、2〜3年で引退。
金峰山の最後のツアーで砂払の頭付近で岩にぶつけて破損後、徐々に不具合が出始め、カスタマーに修理依頼に出したが、修理不能で戻されてきた。
1インチセンサーの解像力はさすがで、ソニーらしい高精細の画像を多く残してくれた。
最後に購入したのがRICOH WG-60。
活躍の機会もあまり無くガイド業を終えたので、現在はほとんど出番のない境遇に置かれている。
この他にも撮影画像からデータを確認すると、初期の頃はCanonのPowerShotA20、義兄から貰ったFUJI FILM FinePix 4800Z、PENTAX Optio E90など使用していたようだが、全て現在手元には無い。