このところコミミ狙いで出かけるのはいいのですが、2時間前後車内で待ち続けるのは中々の試練です。
といって他の人達のように歩き回るわけにもいかないので、紅茶とパワーバーなど摂りながら間を持たせるのですが、動かず食べるということは限りなくメタボに邁進するということなので、これはこれで問題です。
そんなこともあり今日は午後から撮影ウォーキングに出かけました。
ガイド時代はスノーシューツアーなどでよく訪れた八ヶ岳牧場。
目的に応じてコース取りも自在、適度な負荷でロケーションも素晴らしいのが魅力です。
ただ近年積雪が少なく、スノーシューで歩くことができないのが残念。
吹き溜まりを掘り上げてベンチテーブルを作ったり、シェルターを張ってその中でホットサンドなど作ったことが懐かしく思い出されます。
牧場の入り口に駐車して支度を整えます。
このところ上下ダウンのむくむくアウターに防寒長靴スタイルといった実用一点張りの冴えない格好で撮影に臨んでいましたが、今回は久しぶりに冬季トレッキングウェアに着替え、足回りもコロンビアのスノーブーツで固めました。(ソレルじゃないところが可愛いですが...)
探鳥地でやはりむくむくの防寒コートに防寒帽のなりふり構わないおじさん達の中にいる限りではなんら気にならないのですが、このコースでは油断するとブランドものの最新ウェアに身を固めたレディやダンディな中年紳士に遭遇する危険があるので、身ごしらえはおろそかにはできません。
少々古びてはいますが、冬専用のウェアはやはり身が引き締まる感じがいいですね。
悩んだのはレンズ。
できれば500mmを持ちたいのですが、2時間近く5kgの機材を持って歩く自信はありません。
転倒でもして破損させるリスクもあります。
かといって100-400mmでは撮れる画は決まっているので、久しぶりのウォーキングのモチベーションとなりません。
結局背負う荷物を最低限に減らし、500mmを携行することにし、一脚も車に残しました。
歩き出してしまえば機材重量はそれほど苦にならず、ストラップの負荷の掛かる左肩も重ね着したウェアのおかげで荷重が分散されるせいか痛むほどでもなく歩き切れました。
ただこの季節、被写体が少ないのが難点。
折角500mmを持ってきたので何か実のあるものを撮りたいところですが、しばらくは解像テストばかり。遠く舞うトビや地衣の付いた岩、彼方に聳える金峰山の山頂などを撮って気を紛らわせました。
今回のコースの最高点まで登って大展望を楽しんだ後、牧草地と牧草地を隔てる林間につけられた遊歩道を下り始めると、右手の草地に鹿が数頭草を食んでいるのが遠望できました。
絶好の被写体ですが、距離があり過ぎるのと手前の木の枝が邪魔でここからは撮影できません。
もしかしたらこの先の開けた風衝地で少し接近できるかと思い先を急ぎました。
風衝地に設置された木製のベンチテーブルに荷物を置き、視界の開けた林間の切れ目に向かうと案の定先程の鹿達が一心に採餌中です。
距離は200mぐらいありましたが取り敢えず撮ってみることにしました。
モニターで確認し、まあまあかなと思っていると突然左手の梢から大型猛禽が飛び立ちました。
トビでしたが、かなりの近距離です。
咄嗟に構えましたが、AFモードが鹿用の「領域拡大」。ほぼピンポイントなので、この距離では合わせるのは至難の技です。
何とか合ったのはまたしても後ろ姿。ここしばらくのコミミ撮影でも後ろ姿ばかり拝していたので、またか、と落胆しきりです。
鳥屋さん(バーダーのこと)の間では飛翔写真でも向かって来る姿にはピントが間に合わず、後ろ姿ばかりにシャッターを切ることを「ケツ撃ち」というそうです。この言葉はあまりに品がないので使いたくありませんが、このところまさにそんなことの連続です。
その後もしやと思い、後続して数の増えた鹿達の反対側に回り込めば順光でかつ接近できるのではと林間に付けられた遊歩道を幸い、樹間に隠れながらゆっくりと涸れ谷を越えて西側の草地へ移動しました。
雪を踏むかすかな足音にも気遣いながら徐々に灌木の切れ間を目指します。
交錯する枝の合間から草を食む鹿の群れがチラチラ。思った通りの距離感にニンマリです。
カメラを構えながら灌木の切れ目に差し掛かって、静かに身を乗り出した瞬間、気付かれました。
危険を察知する野生の感覚の凄さを実感する間も無く鹿達は遁走。
正面を向き、こちらを一瞬凝視した写真は数枚のみで、あとはまたも全て後ろ姿となってしまいました。
結果今日も「ケツ撃ち」ばかり。
一体いつになったらまともな「顔撃ち」写真の歩留まりが良くなるんでしょうかね?
※画像は表記のあるもの以外はノートリミング、一部RAW現像済み
使用機材:Canon EOS 7D Mark II + Canon EF500mm F4L USM
展望地にある枯れた針葉樹。こんな枝にコミミズクでも止まってくれたらと思いますが、ここには居ませんね。
牧草地に降りてきた鹿達。
しきりに牧草を採餌します。
突然飛び出したトビ。背面が撮れたのはいいのですが。
後ろ姿ばかり...。
作戦成功、と思いきや。唯一正面で捉えた一枚。
その拡大画像。ゴーヨンだとまずまず解像しますね。(30%にトリミング)
あっという間に遁走。これも立派な「ケツ撃ち」です。
場所を変えて。ヨモギかな?
近くの梢からツグミが飛び出しましたが、接近し過ぎでした。