昨日はガイドの下見でした。
朝は相当に冷えましが、その分晴天を期待し、早朝に出発。今回は同僚のN氏が同行です。富士山麓の凍結した国道に肝を冷やしながら何とか登山口の田貫湖(たぬきこ)に到着し、目的地の長者ヶ岳、天子ヶ岳を目指します。
麓にはミツマタの花が咲き、背景の雪をかぶった檜や杉木立と好対照の妙を演出しています。芽吹きの頃の銀毛に輝く蕾もきれいですが、こうやって開花した姿もどこからこんな大きな花が咲くのかと思うほど見事です。
暫くは黒木の中を辿り、稜線のルートに合すると少々単調で退屈な尾根歩きが始まります。
もう少しするとカタクリの花も見られると聞きましたが、この時期目を引くものはいやに多いリョウブの木や山芋の蔓ぐらい。ハードル化した木製の階段木も登高意欲を十分に削がせてくれます。
全体に視界の良くない尾根ですが、所々にベンチが置かれ、富士の展望を確保しています。毎日眺めている者にとっては少々通俗的に感じられる富士山ですが、こうやって眼前に立ち上がる圧倒的な山容を前にすると毎年30万人を越える登山者が訪れ、山麓の観光地が賑わうのも納得できる気がします。この方面からは大沢崩れが正面に見られることも、冬富士の厳しい側面を際立たせているのでしょう。
時々動物達の足跡がクロスする階段道を上り詰めるとブナの多く生える山頂に到着です。ここからは周辺の樹木が切り払われた東面に富士山、北西方面の木の間越しに南アルプスの展望が得られる筈ですが、今回は上空の寒気の影響でガスが掛かり微かに悪沢岳らしきシルエットが望まれただけでした。
ミツマタの花。コウゾなどと共にその樹皮は一万円札の原料。
こんな階段状の登山路が延々と続く。
山頂。富士山は見えなかった。
長者ヶ岳から天子ヶ岳までは緩やかな吊り尾根となっていて、やはりブナが多く見られます。
長者ヶ岳山頂の解説板によるとこの稜線にはゴヨウツツジが多く、5月の中旬には白い花を咲かせるとのこと、八ヶ岳には無い種類なので是非一度見てみたいものです。別名はシロヤシオと言い、皇室の愛子様のお印として採用されたと聞きました。
天子ヶ岳山頂は平坦な長い尾根となっていて南端に山頂標識があります。付近には小さな社が祀られ、東面は切り開かれていて富士の展望台となっていました。
そしてここには山名の由来となった皇女の残した瓔珞から生えたというヨウラクツツジの古木が説明板とともにありますが、白色の壺型の花を咲かせるということですから、おそらくウスギヨウラクの間違いかと思われます。
下山道は急で、長者ヶ岳コースほど整備されていません。下部はスギ、ヒノキと雑木の混成林が占め、雨の日などは少し暗くうっとうしいでしょう。
今回は林道に出た後そのまま白糸の滝方面に下らずに、林道をそのまま歩いて田貫湖の駐車所まで戻りました。
田貫湖はダイヤモンド富士の名所でもあったんですね。
吊り尾根にはブナが多い。
山頂付近では霧氷が溶け残っていた。
枯れ色の林間にナツツバキの木肌が艶かしい。何かいるかな?