[4日目]
夜は満天の星でした。 当然早暁にはご来光。 快晴の空の下に周囲の山々も薄もやの中に静まっています。
朝食後まずは水晶岳のピストンをこなします。 朝の冷気が心地よく身を包み、足取りも軽やか。 直下の岩稜帯も難なく抜けてあっけなく山頂に着きました。 他の登山者の姿もなく、山頂は独占状態。 好天と相変わらず素晴らしい360度の山岳展望に、勢い盛り上がります。 逆光の槍もいいですね。
ほどなく山頂を辞して下山開始。 とここでガイド痛恨のミス。 山頂直下の分岐を見落とし、赤牛方面へと下りかけてしまいました。 ここまで何とかルートだけは外さずに来たのに。うーん、気のゆるみは恐ろしいですね。 (内心、赤牛も行きたかったけどね)
無事三山登頂を果たした後は、お世話になった水晶小屋のスタッフに別れを告げ、雲ノ平を目指します。 岩苔乗越で黒部源流と高天原方面への路と分かれ、祖父岳への登りにかかります。 祖父岳はこの山域では珍しい火山。安山岩質の岩が累々と積み重なる様子は八ヶ岳の蓼科山や編笠山に似ていますね。 雲ノ平はこの祖父岳から流れ出した溶岩によって形成された台地です。 いくつかの庭園を眺めながら長い木道を延々と歩きます。 いつしか雲が湧きだし周囲の山岳を隠し始めますが、何故か私達の行く先だけは明るく照らし、まるで導かれるように雲の平山荘に到着しました。 「汝光あるうちに光の中を歩め」とか?
昼食後祖母岳にも立寄り、雲ノ平を満喫します。 アラスカ庭園の先で木道と分かれると、今夜の宿薬師沢小屋までの急降下。今回のコース上最も厳しい悪路の激下りをこなさなければなりません。 それにしても晴天とはいえ湿った苔の乗った岩は本当に良く滑ってくれました。 永遠に続くかと思われた下降を終えるといきなり沢音も激しい薬師沢降り立ち、最後の難関の危ういハシゴや吊り橋をこなせば、薬師沢小屋は目の前でした。 こんなところでと思わせるおいしい食事をいただいたあとは恒例の歓談です。 この日はお酒も進み、「よくわからない話題」にちょっぴり盛り上がりながら夜は更けてゆきました。
夜明け。
水晶小屋から槍を望む。
水晶岳山頂にて。
君は誰?エゾゼミです。なんでここにいるの?さあ…。
光差す雲ノ平。
ミヤマリンドウ?
水晶岳をバックに。ここまで来ました。
スイス庭園にて。
エゾシオガマが旬だった。
木道から。遠くに雲ノ平山荘が。
雲ノ平から薬師沢への激下り途上にて。
吊り橋も何のその。
ようやく薬師沢小屋に着きました。
暮れ行く赤木沢。
[5日目] 最終日。 ヘッドランプの明かりを頼りに4時30分発。 やがて朝日が射す頃にはカベッケ平の快適な木道歩きを楽しんでいました。 朝の清々しい冷気が頰を撫で、逆光に霞む顧客の皆さんもどこか幻想的。 薬師沢を隔てた黒木の森も光の帯に覆われ、カナダやアラスカの原野を彷彿とさせます。(行ったことないけど)
何度か薬師沢源流を渡り、これまで登った山々を振り返り振り返りしながら高度を上げれば、やがて4日前に別れた太郎平の小屋が見えてきました。 これで無事周遊完了。
後は皆さん様々に思いを残しながら、折立までの下山路をもうひと頑張りです。
振り返れば今回の山行の間中目を楽しませてくれた薬師岳の雄大な姿が、名残を惜しむように湧き出した雲の彼方に霞んでいるようでした。(完)
カベッケ平にて。後光差す面々。
チョウジギク。南アルプスや八ヶ岳では見かけません。
朝弁のちまき。ごま油が利いて美味しい。
太郎平小屋に着いて、目出たく一周。輪が閉じました。