[3日目]
朝から雨模様。昨夜も随分降ったようです。 予報では今日も一日降り。 それでも気を取り直して出発です。 昨晩はストーブをガンガン焚いてくれたお陰で、濡れた衣類がほとんど乾いたのは嬉しいですね。 若干濡れの残る雨具と登山靴はまあしょうがないとしましょうか。 鞍部に建つ五郎の小屋からは暫し急登。 弱い雨と相変わらず視界を限るガスの中、一向に見えぬ三俣蓮華岳山頂を目指します。 全くどこを歩いているんでしょうね。 と思いながら歩くこと数時間、ようやく双六岳の分岐に飛び出しました。三俣山頂も目と鼻の先です。 風もなく雨もやんだ山頂で暫しの休憩、昼食を取ることが出来ました。 ほっと一息。 山頂から三俣山荘までは楽な下り、花も奇麗でした。 場所により同種の花の咲く時期が異なるのも、雪渓の残り方の差によるものなんでしょうね。 三俣山荘で休憩後鷲羽岳へと登り返します。ところで鷲羽はどこだ? でもその前に恐ろしい話しをひとつ。
山荘に着く直前、すれ違ったパーティーから熊に遭遇した話しを聞かされました。 1時間程前、黒部源流碑の辺りだそうです。 果敢にもリーダーが格闘し、撃退したそうですが、ああ恐ろしい! こっちに来なくて良かったな。これ本心。(熊撃退スプレーも忘れてきたしね) でもこのリーダーさん、大分株を上げましたな。
鷲羽の登りも中々の急登。 でも心なしガスが晴れ、時折日が差すと、勢い気分も高揚します。 振り返れば三俣山荘が遠望され、黒部源流方面も見渡せます。 時折垣間見られる青空に、もしやの期待が高まるのも、これまでの苦労を思えばこそです。
でも鷲羽山頂は風雨の中でした。人生土砂降り。まあいいとしますか。
記念撮影後早々に下山、一路今夜のシェルター、水晶小屋を目指しましょう。 暫しの下降でワリモ岳の鞍部、何気なく西に目をやると、なにやら薬師方面が明るいご様子。太郎平や黒部五郎方面も徐々に雲が切れ始めています。 添乗のYさんいわく富山湾を隔てて能登半島が見えているとのこと。 急速に天気が回復しています。 何という僥倖。何というドラマチックな展開。 うーんさっきの冷たい雨は寒冷前線の通過だったんだな。とガイドらしい感想を漏らすも誰も聞いていない…。薬師が奇麗だな。
ワリモ北分岐で完全に晴れ、空気も澄み渡り、周囲の山々も手に取るように望まれます。 念願の黒部五郎の全景、これから辿る水晶の勇姿、白い山肌を惜しげもなく晒す野口五郎。 そして何といっても怪異な北鎌尾根の稜線を際立たせた槍の圧倒的な姿はまさに感動的。 暫し山座同定にふけることにいたしましょう。
その後この世ならぬ絶景を左右に眺めながら小屋までの残りのコースをゆっくりと歩きました。 小屋前のテラスで暮れ行く名峰の数々を眺めながらのビール、コーヒー、そして今日一日を振り返る歓談は何にも替えられない贅沢な時間ですね。 水晶小屋名物のカレーも絶品。心遣いも嬉しい夕食でした。
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黒部五郎小屋の前で。
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小屋の看板。岩魚とオコジョか。
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三俣蓮華山頂。
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イワシャジンも雨に濡れる。
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冷温保存されたヨツバシオガマ。
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三俣から下ります。
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アオノツガザクラ。八ヶ岳にはない花。
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三俣山荘を後にして。
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ガッツだぜ!
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休みましょう。
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雲に隠れる鷲羽山頂。まだまだかな?
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雲の切れ目から黒部源流が見渡せました。
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風雨の鷲羽山頂。
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念願の黒部五郎を遠望します。あのカールの底を歩いたんだな。
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太陽が出るとやっぱり嬉しい。
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野口君。
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水晶岳の勇姿。
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何といっても槍。凄絶。
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槍はここだよ。ちょん。
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水晶小屋に到着。
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至福の一杯。
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ごちそうさまでした。