8月末四泊五日の行程で「雲ノ平」及び周辺の山々をご案内しました。 久し振りに長い山旅でした…。
[1日目] 予想に反して暑いくらいの折立登山口を昼過ぎに出発。 前日までの荒天のせいか、登山者もまばら。お客様を待つ間、話しを聞いた下山者たちは一様に尾羽打ち枯らした様子で、4日間降られ続け、けが人が多数出たことなど語るので、内心不安を抱えてのスタート。 ともあれ晴天の現状に気を強くし、林間の登高を順調にこなしてゆきます。 路傍に群生するアカモノの実が見事に色付いているのが印象的です。 なんだかミズバショウの葉のようなものも茂っているのですが、あまり縁のない身には断定しかねず、やはり北の植生は我がホームグラウンドとは少々異なるようですね。
急登を終え、1870mの三角点ベンチに着くと、薬師岳の勇姿と目指す太郎平方面が見渡せます。 それにしても薬師は雄大ですね。 高峻な印象はありませんが、その根張りの大きさと樹木をまとわないライトブラウンの優美な山肌、他を睥睨する独立性など、まさに名山の風格を漂わせていました。
ここからはなだらかに起伏する石畳トレイルを延々と辿ってゆきます。 周囲にはイワショウブの花が目立ち、イワイチョウの黄葉が早くも草紅葉を演出していました。 既に草原には秋の風情が色濃く漂っています。 この日は涼風が心地よく、適度に日が陰って比較的快適に太郎平小屋に入ることが出来ました。
小屋前の広場からは夕日に照らされた雲ノ平と明日から稜線を辿る山々が厳かに佇んでいます。 まずは好天を祈り、ちょっぴり飲んで早々に寝ることにしましょう。
登山口の休憩舎。
黒檜(?)の巨樹。
アカモノが見事です。
ミズバショウ?なのかな。
ゴゼンタチバナ。
石畳ルート。良く整備したものです。
五光岩ベンチにて。奥には剣も。
薬師が見守ってくれます。
太郎平小屋が見えてきた。
黒部五郎方面。
水晶岳も西日を浴びています。
夕食。
[2日目] 予報通り朝から雨。多分終日雨。
でも予定通り出発。黒部五郎が待ってるぜ。
まずは北ノ俣岳への緩傾斜のルートを黙々と歩きます。 周囲には池塘が点在し、相変わらずのイワショウブとイワイチョウの群落が広がるばかり。 タテヤマリンドウ(?)も雨天のせいかしっかりと花を巻き閉じています。 時折晴れ間が覗いたり、ライチョウも出現したりと多少のサプライズもありながら、相変わらずのガスと風雨の中、北ノ俣岳へ到着。 ですが小休止の後記念撮影もすることなく、すぐに出発。 皆さん濡れと寒さでそれどころではないんでしょうが、北ノ俣岳、ちょっぴり可愛そうだな。
黒部五郎までは草原状の尾根を多少のアップダウンを交えて延々と歩かされます。 やがて徐々に傾斜がきつくなって、視界の利かないながらも五郎への登りにさしかかったことが実感されました。山頂はどこだ? 途中バテで動けないカップルを励まし、アドバイスしてから先を急ぎます。 数年前の嫌な事故が脳裏をよぎりましたが、まあそれほどのこともないでしょう。
風雨の中、苦闘すること6時間30分。ようやく黒部五郎山頂に到達。 全員で労をねぎらいました。 今日この山で99山目のNさん。感激もひとしおでしょう。
とにかく天候が悪いので長居は禁物です。 早々にカールの底へと降りましょう。 とにかく視界が不十分なので、どこを歩いているのか分からない状態ですが、既に雨はレインウェアを染み通って下着まで達しています。登山靴の中では赤木沢源流の岩魚も泳いでいるようです。 こんな時はとにかく一刻も早く小屋に入るのが先決。 疲れの見え始めた一同を叱咤激励、強引に先導します。
15時15分。黒部五郎小屋着。 土間に炊かれたストーブと小屋のスタッフの親切な対応にはまさに生き返る心地がしました。 この夜は暖かい談話室で自己紹介などしながら全員で歓談。 その後ちょっぴり飲んで、心地よく就寝。 全てに感謝。
雨の中太郎小屋を出発。
不遇の北ノ俣岳。
水路と化した登山道を行く。
ライチョウのお出まし。
黒部五郎へと登ります。
山頂着。やれやれ。
カールの底を小屋目指して急ぎました。