蝶ヶ岳、意外に花の少ない山。
ここまで大分汗をかかされた三股からの登路を終えて、大滝山の分岐に来ても見られるのはありきたりの花ばかりだ。
それでもえぐれた登山道の日陰にはキヌガサソウが控えめに咲いている。
南や八ッには見られない花はどこか新鮮な佇まいを見せてくれて、こればかりは少々嬉しい。
蝶ヶ岳ヒュッテのテン場には山口からの高校生集団がそれぞれ大型テントにひしめいている。
何とか静かそうな場所を見つけて設営を終えたものの、テン場にやってくる登山者は老若男女後を絶たない。特に高齢者と言っていい夫婦のテント泊が目立つのはやはり時代だろうか。
早々にテントを張り終え、ごちそうを用意してビールなどお飲みになっている。
皆さん体力ありますね。どうぞこれからも頑張って!
かなり早くついたので蝶槍まで足を伸ばす。
途中高年夫婦と孫三人のパーティーを追い越したが、その中のえんじ色のジャージの上下を来た最年長らしい男の子が相前後して後をついてくる。
小学校4年生ぐらいか。
「おばあちゃん達待ってなきゃだめじゃない。」というと「はい!」と元気よく答える。
「今日登ってきたの?」と聞くとやはり「はい!」と模範的な答え方。
結局この子とは往復の間中一緒に歩いた。
運良くライチョウの親子にも遭遇。
穂高方面は山頂直下のラインで寒気が降りているらしく、上部は雲の中。
それでも異様に切り立って見える大小の谷とカールに残る雪渓のコントラスト、雲間から落ちるビロードのような分散光がこの山塊を荘厳に彩っている。
蝶槍からの常念岳も端正なピラミッドが白く輝いてきれいだった。
テン場に戻ると新手が押し寄せていてかなり過密になっている。
夕暮れ近くについた最後の大学生らしい集団はサイテーのマナーで困った。
少しは高校生を見習うべきだよ。
夕食の準備の水をもらいにゆくとくだんの少年と小屋の窓越しに目が合った。
はにかみながらも手を振ってくれる。
三ッ頭の時の花の名前を必死に覚えてくれた少年も含め、こういう出会いは非常識な大人との関わりの中では特に嬉しく心和む。
夜半から雨。
翌日は久し振りの濡れテンを担いでの早立ちとなった。
大滝山を経由して鍋冠山を下る頃には雨もやんで、終点も近い林道には既にアサギマダラがさかんに飛び交っている。
山頂から眺めた安曇野はのどかで美しい街だったけれど、タクシーを降りると猛暑の最中だった。
三股からはやはり吊り橋を渡って。
烏川を渡る。
チラノサウルス出現!
サンカヨウは既に実になっていた。
ありきたりだけれどいつ見ても美しいハクサンフウロ。
テント繚乱。
山頂にて。
小屋とテント場。我がテントは見えない。
縦走路から、蝶槍と端正な常念。
この石積、いやに絵になるな。背景は雲掛かる穂高。
安曇野を見下ろす。
ライチョウの親子に出会った。
蝶ヶ岳を振り返る。
大滝山から鍋冠山。明日はあれを行く。
夕雲。
男一人のテント生活は気ままなもの。これが朝食。
朝のテン場。高校生達も順次出発してゆく。
大滝山まではクルマユリのプロムナード。
稜線からは槍が見えた。
林床を縁取るコイチヨウランが可憐だった。