昨日は好天を利用して蛾ヶ岳(ひるがたけ)に行ってきました。
蛾ヶ岳といえば初級向けの登りやすい山のイメージがありますが、実は初見参。どうせ登るなら当たり前のコースではつまらないということで、今回は地形図に載っているだけでネット検索にも出てこない、ほとんど踏まれていなそうなコースを辿ってみました。
入山は下芦川の高萩。いきなり雨後の湿って滑りやすい沢沿いの斜面をトラバースさせられ、ほぼ廃道と化した峠道は落石とイノシシの掘り返しでまったく原形をとどめず、歩きにくいこと甚だしい。ようやくコース途中の小さな峠に辿り着くと傾いた馬頭観音と荒れた耕作地の跡がありました。地形図には名前の記載がありませんが、この峠は蛾ヶ岳と地蔵峠方面へ分岐し、岩屋峠と呼ばれていたようです。
小休止の後は蛾ヶ岳までの長大な尾根を辿ります。急斜面あり、長閑な明るい雑木林あり、暗い植林地あり、両サイドが切れ落ちた馬の背ありと、変化に富んだ尾根はやがて主稜線に達し、そこからはひと歩きで山頂でした。
山頂は周囲の樹木が切り開かれており、南北方面の展望が確保されています。北面は南アルプスから八ヶ岳、奥秩父、小金沢連嶺までが一望でき、甲府盆地や四尾連湖も眼下に見渡せる好展望。南面は真正面に聳える富士が圧巻の眺めです。この日は午前中は上部が雲に隠れていましたが、山頂到着時から徐々に雲が取れ、下山時にはすっかり全景を現してくれました。到着した時には既に4人の先着者がいて盛んに富士を撮っている最中でした。
蛾ヶ岳、あまりにも安易な登山対象として敬遠していましたが、数ある富士の展望台の中でもその端正な姿を際立たせてくれる素晴らしい山頂です。山頂滞在30分ほどで下山にかかりました。登りに予想外に時間が掛かったのと、下山路の様子も不明なため、予定していた大平山を周遊するコースは諦め、往路を戻りました。
下山後高萩の集落を車まで戻る途中、道路下の無人の家屋に何やら動くものが。良く見たらハクビシンが急いで縁の下に隠れるところでした。冬期には早々に日が陰る下芦川の集落群。この深い渓に沿うように点在する家々もやがて過疎化の波に呑まれてしまうのでしょうか。とうとう入山時から下山時までただ一人の住人にも出会うことのなかった冬至過ぎの山の一日でした。
中央道では「幻日」に遭遇。
斜面に密集する「高萩」の集落。
日だまりの岩屋峠(?)。
苔むした馬頭観音。
耕作地の石垣。水田だったとか。
明るい尾根。
尾根上部でようやく出て来た赤布。
山頂の立派な標識。
高萩の集落には廃屋が目立ちます。