今年のお盆は山に明け、山に暮れました。 盆休みさなかの14日から三泊四日の行程で、荒川三山~赤石岳のツアーのご案内です。
お馴染みの新潟からのお客様とは中央道のP.Aで合流。 一路井川を目指します。 毎年のことといえ、この行程が一番つらいところ。 それでも今年は椹島まで入らずに、手前の白樺荘で前泊なので、疲れた体には本当にありがたい日程でした。
二日目からはいよいよ登山開始。まずは千枚小屋を目指します。 昨年までの右回りコースとは逆のコースですが、歩き易さ、とういう点ではこちらの方が多少は楽でしょうか。 渓流の吊り橋を渡り、山腹をトラバースして、後は樹林帯をだらだらと登ってゆくばかりの登山道。林相が変わり、亜高山特有のシラビソやトウヒの大木が林立する辺りを過ぎると千枚の小屋も間もなくでした。 この小屋は数年前の火事で焼失したままなので、別館のような小さな小屋に宿泊して、食事だけプレハブの小屋で取るシステムとなっています。 夕食も美味しく、冷えた生ビールがあるのにはちょっと感激でした。
翌日は早立ちし、千枚岳の頂上でご来光を迎えました。 素晴らしい早暁です。 千枚とその先にある丸山の間にはちょっと痩せた岩稜とギャップがあり、多少緊張する場所ですが、この斜面には思いがけず素晴らしいお花畑が広がっていました。 タカネマツムシソウ、ビランジ、オウギの仲間、シコタンソウ、ミネウスユキソウ、アキノキリンソウ、タカネコウリンカ、タカネナデシコ、シコタンハコベ、イワインチン、タカネヤハズハハコetc.。 当初の予定と時期がずれたので、あまり期待していなかったのですが、これほどの花が残っているとは。さすが南の奥深さを思い知らされました。
悪沢岳に達する頃にはガスが掛かり始め、風も強くなります。 ここから赤石にかけての稜線はいつ来ても風が強いですね。 中岳と山頂標識が今にも崩れそうな前岳を早々に通過し、荒川小屋でゆっくりと休憩です。 嬉しいことに、ここには今川焼がありました。お茶付き¥400也。 荒川小屋は食事も美味しいですよ。(今回は宿泊無しで残念)
今回中岳から荒川小屋に下る斜面には植生保護のネットが広範囲に張られていました。 そのため電光形の登山道を行き交う登山者は所々ネットの扉を開閉しながら通過します。 少々面倒ですが、これほど高所にニホンシカが進出していることに危機感を覚えるのも事実です。
強風の大聖寺平を通過し、小赤石の急登をこなしても天候は回復せず、一行は風雨の稜線を赤石岳目指して進みます。 分岐に荷物をデポして、いよいよ赤石山頂へ。 実は今回荒川三山と赤石で百名山完登となるご夫妻がいらっしゃって、少々の悪天候でも「行かねばならぬ訳」がありました。 それでも無事山頂到着。全員でご夫妻の快挙を祝うことができました。
赤石岳は何度登っても快晴に巡り会うことの難しい山です。 今回も全体像を望めたのは千枚岳付近からのわずかの時間でしたが、その威厳ある勇姿はやはり南アルプスの盟主と言える確固たる風格に満ちています。
南アルプスの最深部はアプローチの長さと交通事情により手軽に入山するのが難しいエリアですが、やはり原初の魅力に満ちた山旅を満喫できる希有な山域といえるでしょう。
宿泊先の白樺荘。
茶臼岳方面の残照。
夕食。豪華。
吊り橋を渡ります。
美味しそうですね。何?
エビガライチゴ。
清水平で休憩。湧き水が冷たい。
駒鳥池。
千枚小屋のヤナギランがきれいだった。
富士を背景に生ビール。
千枚の夕食。
夜明け。
タカネマツムシソウが素晴らしかった。
千枚を下る。
ビランジ。オオかタカネか?
タカネヒゴタイ。
シコタンソウ。
悪沢山頂のケルン。
悪沢も下ります。
チシマギキョウが群生していた。
小赤石へと登り返します。つらい。
ミネウスユキソウ。
赤石沢を下ります。
どんどん下ります。
マツムシソウに始まり、マツムシソウに終わった旅でした。