大峠付近の912mピークから901mピークまではほぼ標高差のない稜線歩きだったが、ここからは一気に古宿まで不明瞭な幅のある尾根を下ることになる。幸い901mピークからは峠道の明瞭な道形が残っているので、迷わずそれに従って下って行くことにする。それにしても廃道となって久しいと思われるのにこれだけ深い道形が刻まれているということは人の往来のみではなく、牛馬の往来も盛んだったことの証明だろう。今では落ち葉に埋もれるに任せるこの道形も車道としての左右口峠や精進トンネルが開通する以前はまさに甲府盆地と芦川を結ぶ生命線の一つであったことを示す、まさに歴史の証人でもある。
コンパスとGPS、そして赤布に導かれて古宿集落を目指す。
途中で遭遇した塚のような石積み。中央の石には文字は書かれていなかった。場所柄少し気味の悪さを感じ、早々に立ち去る。
石積み付近から下部で道を失い、暫し彷徨した末に突然開けた茅場。多分鹿達のねぐらなんだろう。
その付近に多かったヤマコウバシ。熊棚と思われるものも散在する。
あいかわらず道形を失い、急な斜面をトラバースして枯れ沢に降りる。この石積みは何のためだろうか。
河床を離れ再び斜面のトラバースをこなして隣の尾根に乗る。ここにも数段の石積みが残されていた。桑畑の跡だろうか。
ようやく道形を探し当て、ほっとして下り始める。かつての峠道が廃れた跡でもこの上の平地では何か作物を栽培していたと推測される程良く踏まれた道だ。
ようやく古宿が見えてきた。やれやれ。
芦川に架かる橋を渡れば古宿集落。ここから大西まではのんびり歩いても大したことはない。
民家の生け垣のレンギョウが満開でひときわ綺麗だった。