二週間ほど前のことです。
当事務所前には道路を隔てて牧草地が広がっています。
ここは近くの酪農家が所有する農地ですが、昨年乳牛の飼育・搾乳そのものは廃業し、現在は採草した牧草や別の畑で栽培した飼料用のとうもろこしの販売を手掛けるのみとなりました。
そういった事情から牧草の刈り取りだけは変わらず年に数回行っています。
先日も雨天の合間を見計らって三日間に渡っての採草作業が行われました。
前回の刈り取りから多少期間が空いたので採草前には1.5mぐらいに伸びた牧草でしたが、作業が終わると地面も露わになり、景色もさっぱりといった感じに一変します。
牧草地は事務所二階から見渡せるのですが、採草翌日の朝、ふと窓外に目をやるとトビの群れが地面に降り立ってしきりに何か漁っています。
天気は再び小雨の降る曇天でしたが、1ヘクタールほどのエリアに20羽以上のトビが群れている様は壮観。
少し距離がありましたが、500mmで狙ってみました。
小雨とはいえ雨天なので、ISOは限界まで上がり、最短にいるトビまでの距離も20mぐらいはあるので、羽毛解像までは望めませんが、なんとかそれらしい写真を撮ることができました。
ただ一つ疑問が。
20羽以上のトビが夢中になって捕食するものとは?
肉眼では全くわからないので、レンズ越しに追ってみると、黒っぽい色の細長い形状の物体のようです。
単純に考えれば、採草途中で轢死したミミズが一番妥当かと思われますが、中にはどうしてもミミズとは思われないものもあって、釈然としません。
トビを追い払いたくないので、現地調査は行いませんでしたが、いずれにせよ、他に考えられるのは数の多い昆虫や何かの幼虫といったものなのでしょう。
この行動は三日間ほど続きましたが、餌の減少からか、トビの数もだんだんと減り、天気の回復とともに全て去って、この狂想曲も終わりを迎えました。
大型猛禽の中では不当に評価の低いトビですが、黒目勝ちの目も、換羽直後のシックな羽色も素晴らしいタカ類だと改めて感心した次第です。
白斑の多く残る若鳥(幼鳥)。1ヘクタールに20数羽だと500mmでは全体の数は一画面に収まりません。
成鳥とは違う美しさがあります。ホシゴイ(星五位)ならぬホシトビ(星鳶)でしょうか。この羽衣のままで成鳥になれば、もっと「鳥格」も上がるかもしれません。
横向きのシルエットも綺麗ですね。全く別のタカ類に見えます。
今回最接近した個体。生垣のヒバの隙間から撮影。
体色は若鳥(幼鳥)ですが、頭部は換羽が進んで成鳥の羽色に近づきつつあるように見えます。
こちらも幼鳥の面影を残す個体。これだけの数がいるとさまざまな成長段階が見られて興味深いものがあります。
こちらも換羽途中なのでしょうが、特に綺麗な羽衣をしていました。
地面を見つめて餌の探索中といったところでしょうか。凛々しいですね。
こちらは換羽が終わった若か成長でしょうか。
羽衣の擦り切れや褪色もなく、しっとりとした鳶色が美しい個体でした。