5月2日
ゴールデンウィーク中はどこも人の波なので毎年活動を自粛している。
とはいえ今年は思いの外静かな中日となったので、思い立って近くにありながら中々訪れる機会の無い低山に登ることにした。
増富温泉から黒森に抜ける途中の金山の集落(といっても今は二軒しか残っていないが)に奥秩父の開拓者の一人木暮理太郎の碑が建てられていることは以前から知っていたが、何故か訪ねる機会が無かったので、ついでに立ち寄ってみる。
猫が一人で留守番をしている金山山荘の裏手を登ってゆくと白樺の疎林に囲まれて以外に立派な碑がひっそりと早春の日差しを浴びていた。
かつてはもっと上の方にあったものだというが、いずれにせよ今も知る人ぞ知るという存在には違いないだろう。
向山と五里山はこの金山の南方正面に聳えている。
麓から眺めると何の変哲も無い里山だが、これが中々の難峰だった。
金山山荘のご主人に教えられた通りに林道から別れたつもりがすぐに行き詰まってしまい、やむなく地図通りに進み、あとはまばらな標識とかすかな踏み跡を頼りに何とか両山の鞍部に突き上げる急峻な枯れ沢に辿り着く。
怪しげな踏み跡もやがて消えてガラガラの沢をつめると鞍部に出る。
そこから右にきわどいトラバースを経て五里山。
戻って、やはり所々悪い尾根を進むと向山の岩峰に着く。
残雪の南アルプスと八ヶ岳の展望が圧巻だった。
帰路は鞍部から南西に落ちる沢を下る。
上部は同じくガラガラの枯れ沢だが、日溜まりのせいか暖かく心地よい。
クリスタルラインに出て退屈な舗装路をだらだらと戻った。
釣り人が一人竿を出す本谷川の流れが陽に輝いて清々しかった。
稜線で冷風に吹かれすぎたせいか、翌日見事に風邪を引く。