十数年振り(多分)にイワナを釣った。
昨年のコロナ禍の5月にも1日だけ初夏の陽気に誘われて川に降りてみたけれど、その新緑萌える溪相の素晴らしさに反して、そして人気の無さにも反して、全くの空振り。
今回も何となくざわついた自然の気配に急に思い立って出かけて見たのだが、まず入渓点が思い出せず、しばし笹薮の中を苦闘。
ようやく降り立った川は以前の記憶に比べてかなり荒れていた。
ここ数年続いた台風や豪雨の影響だろう、堰堤下の溜まりや大場所の淵など真っ平らに埋まっている。
この源流域とも言っていい場所にあった幽玄な苔むした溪相、いかにも豊穣な流れはどこかに行ってしまったかのようだ。
それでも浅い流れの細かいポイントを拾うと、数尾の少年たちが遊んでくれた。
十数年振りのイワナの感触。
野生の美しさは昔も今も変わりは無い。