先月の月末に3泊で名古屋・伊勢志摩方面を回ってきました。
まずまず天気にも恵まれ、伊勢神宮をメインに志摩の灯台まで足を伸ばしました。
伊勢は2014年に熊野へ行った際に先を急ぐあまり伊勢自動車道から紀勢自動車道へと直接分かれたので、立ち寄ることができず、帰りは熊野大社から十津川沿いに北上してしまったので結局未知のままでした。
今回は家人を連れての旅行だったので、疲労度を考え途中名古屋で一泊。
名古屋城や熱田神宮へも立ち寄り、ゆっくりと伊勢に向かいました。
移動日は午後まで雨。
昼過ぎに外宮に着いたものの、雨足が衰えずにその日は参拝は断念。
翌日をお伊勢参りの集中日としました。
初めての伊勢神宮でしたが、社殿の規模や構造はイメージとはかなり異なり、少し物足りなさを感じましたが、むしろ神宮の置かれた周囲の地勢、植生、景観、自然環境の方に存在感や霊性といったものを強く感じ、神道の根本はやはり山川草木に宿るところにあると再認識した次第です。
五十鈴川を挟んで対岸から望む神宮を囲む山々は、菅笠を無数に連ねたようなこんもりとした照葉樹の樹冠が折り重なって独特な神さびた風景を作り出し、まさに神話の世界を形作っているように見えました。
これは以前那智や熊野を訪れた際にも感じた印象と重なります。
最終日は志摩の海へ。
ネットで検索した「横山展望台」から英虞湾(あごわん)を眺め、海岸にも立ち寄りたかったので安乗崎灯台にも足を伸ばしました。
ここは映画「喜びも悲しみも幾歳月」のロケ地の一つとなったところです。
伊勢に戻ってから最後の別宮(わけのみや)「月讀宮」を参拝して帰途に着きました。
今回の伊勢の旅、伊勢神宮の歴史的意味合いからか、アジア系のインバウンドの姿もほとんど無く、比較的静かに回れたのは何よりでした。
当分は足が向くことはないかもしれませんが、機会があればもう少し余裕を持って訪れてみたい場所でした。
初日に訪れた名古屋城西南隅櫓と天守閣(奥)。西南隅櫓は慶長17年頃に建てられたとのこと。大正10年に大規模な修理が行われ、平成26年にも改修され、現在の姿に。昭和20年の名古屋空襲でも消失をまぬがれため重要文化財に指定されている。
本丸から見上げる天守閣と復元された本丸御殿の一部(左)。平日のためか観光客も比較的少なかった。
天守の屋根には金鯱が輝く。本来は木彫の本体の上に金箔ではなく金板を張った物だそうだが、今はどうなんだろう。天守閣本体もコンクリート製というのは興が削がれるけれど、近々に木造による復元も計画されているという。それにしても1945年5月14日の名古屋空襲での焼失は悔やまれる。B-29爆撃機472機での爆撃は焼夷弾2,515tが投下されたそうだ。
名古屋城近くのカフェ「蓬茶亭」で休憩。抹茶セットで¥1,100也。他にこれといった店も見当たらなかったけれど、構えが立派すぎるせいか、メニュー単価のせいか、お客は少なかった。
その坪庭。こういった造作は綺麗だ。
翌朝は熱田神宮参拝から。七五三のファミリーで賑わっていた。
拝殿脇から奥を撮影。端正な社殿の構えはシンメトリックで美しかった。本殿は撮影禁止とのことで、この後衛士の人に叱られる。特に注意書きもなかったのに...。
参拝後伊勢道で一路伊勢へ。途中本降りとなって久々に「雨の高速」を経験。
伊勢に着いても降り方が激しいので、外宮の参拝は翌日に持ち越した。
遅い昼食には外宮前の酒販店が経営している洒落た店で「みそぎうどん」なるものを食す。
これは雨に濡れた体に染み入る美味しさだった。
店内には日本酒の酒瓶が並び、少量づつ試飲できるようだったが、見ないことにした。
三日目は天気も回復し、お伊勢参り日和。まずは内宮からスタート。参道脇の巨樹の多さに驚く。
ラテンアメリカからの団体客をやり過ごして、木漏れ日が美しい参道を撮影。偶然神職の方が現れた。
内宮直前の参道脇の森。常緑の照葉樹が多いせいか、こういった中に神々が宿ると言われれば納得する。
樹木保護のために竹が巻いてあった。
マメズタが多い。熊野古道を思い出す。
神楽殿脇の蔦の絡まった古樹。
光差す「御池」。
宇治橋の欄干の擬宝珠。背後の山も色づき始めていた。
前日の雨で増水していた五十鈴川。左端に小さく鷺が写っている。
御神酒を奉納する酒蔵の一覧展示。白鷹だけは別の場所に特別枠で展示されていた。
お祓いまち通り。観光客でごった返している。沿道には食堂や土産店が多い。
白鷹の本店?まさにお膝元。
経年で色の変わった杉玉が吊るしてあった。
ホテルで勧められた「すし久」の手こね寿司。かなりのボリュームなのでシンプルなお寿司と赤だしだけのセットがおすすめ。今回天ぷら、茶碗蒸しは余計だった。
ちなみに隣の席の若いカップルはシンプルセットにも関わらず、マグロを数切れ残していた。うーん...。
ここは老舗のせいか、建物も古く、てこね寿司も本場を満喫できるが、他の店舗のもう少し垢抜けたメニューの方が若い人には受けるかもしれない。
昔はこのくらい何ともなかったけどね...。
昼食後五十鈴川沿いを散策。趣のある白壁塀が続く。
ご存知「赤福」本店。構えも立派である。
午後は外宮に移動。足の遅い家人がいるので天気がいいのが助かる。
写真は手水舎の柄杓。今回作法も勉強になった。
外宮の遷宮御敷地。次回この場所に遷宮されるのは2033年。
その左に現在の外宮が建てられている。内宮と違い、隣り合った御敷地との対比が分かりやすく、側面からの様子も垣間見ることができる。
外宮御敷地にある仮宮のようなもの。正式名称は不明。
伊勢神宮には内宮、外宮共に敷地の内外に別宮(わけのみや)といわれるお社がいくつかあり、遷宮の年にはこれらの宮も全て建て替えられるそう。写真は土宮。
その御敷地。
こちらは風宮。
外宮の森に午後の日が差す。
外宮の参道脇にあった老樹の苔むした瘤とその周囲に生えた羊歯。神が宿るのはこんなところかとも思わせる。
最終日は志摩の海を見に移動。
時間的に多くは回れないので、ネットで検索して英虞湾が一望できるという横山展望台へ。
駐車場から少し離れている場所にあるが、車椅子用のスロープが設置されているので高齢者でも難なく登ることができた。
いわゆるリアス式海岸が一望できる。
展望台を出てこれもネットで検索した安乗崎灯台に向かう。
間近で海を見たかったのと、サイトに載っていた灯台の写真に惹かれたからというのが理由。
はっきりいってここはとても良かった。
敷地内に休憩所を兼ねたカフェもあり、外トイレも新しくとても清潔だった。
灯台は上部のデッキまで登れるのだが、手前のアプローチ入り口で入場料を取られるので注意。
灯台の内部はコンクリート製の螺旋階段になっていて、手すりはあるが、かなり急。
高齢者にはお勧めできないけれど、デッキからの展望は素晴らしい。
これは北西方向を眺めた写真。リアス式海岸が左手奥に続いている。
志摩から一旦戻り、内宮から伊勢I.Cまでの間にある別宮「月讀宮」に立ち寄って帰路についた。
帰路は6時間かけて一気に自宅まで。恵那山トンネルをはじめ飯田から伊那まではあまりに単調で、正直中央道はあまり走りたくない。