19日、20日で蓮華温泉を起点に朝日岳から雪倉岳を周遊してきました。
幸い好天に恵まれ、また素晴らしい花の時期と重なり、これ以上はない程の充実した山行となりました。このルート、花好きの方には是非一度歩いていただきたい隠れた花の名ルートです。
蓮華温泉を6時過ぎにスタート、白高地沢出会いまでは長い下りです。開けた川に掛かる鉄橋を渡ると、ここからが長い長い登りの始まりです。おまけに猛烈な湿度と気温の上昇で大汗をかかされます。ようやくカモシカ坂を登り切ると花園三角点、近くにはベンチも設置され傍らには水場もあって、休憩には好適地です。既にスタート地点から花の競演は始まっていて、珍しいランや湿原性の花々にシャッター音が途切れることはありません。
五輪尾根を巻くトラバースにかかると憧れのシラネアオイやサンカヨウ、キヌガサソウの新鮮な花々に迎えられ、興奮もピークに。もうこれだけで来た甲斐があったというものです。途中雪渓から流れ出す細流の畔にはミズバショウやリュウキンカ、ハクサンコザクラが群生してその水気に満ちた風情は折からの蒸し暑さを忘れさせてくれるに十分でした。
幾つか雪渓を横断し、栂海新道との分岐の千代の吹き上げのコルに達するとようやく心地よい風が吹き抜けてくれました。ここから朝日岳まではあと一息、巨大な雪渓を巻いて辿り着いた山頂は既にガスに覆われて視界はありませんでした。
時間も遅いので先を急ぐこと1時間、ようやく朝日小屋に到着しました。今宵の宿のテントを早々に設営してまずはビールです。小屋の冷蔵庫でキンキンに冷えたスーパードライが喉の奥にするすると流れ込んで、瞬く間に空に。すかさず追加してようやくひと心地つきました。夜は良く晴れて星がきれいだったようですが、小屋泊の登山者の歓声をうつつに聞きながら前夜睡眠時間2時間の身としてはひたすら明け方まで爆睡しました。
蓮華温泉からしばらくはブナの森が広がります。雪国だけあって大木が多いですね。
コケイランでしょうか。
ミズバショウが野菜のように育っていました。
エンレイソウも大きいですね。
草原ではイワイチョウの花も目立ちます。
林床に多いアカモノ。まだ咲き始めです。
高層湿原を貫く木道。その周囲には多くの花が見られます。
トキソウ。八ヶ岳周辺ではあまり見かけません。感激です。
ムシトリスミレは八ヶ岳にもありますが、こんな群生は初めてです。
ニッコウキスゲも多く咲いています。
モウセンゴケも久し振りに目にしたものの一つです。
クルマユリ、蓮華温泉付近には大きな株が目立ちました。
オオバギボウシ。当たり前でもよく見るといい花ですね。
キンコウカ。至る所にありました。
イワカガミ。ただのイワカガミかオオイワカガミかは判別不明。
カライトソウもようやく咲き始めたばかり。この辺りにはユキクラトウウチソウもあるはずですが。
タテヤマウツボグサ。花が大きいですね。
ワタスゲ。湿原ならではの風情を感じます。
花園三角点のそばにある水場とベンチ。休憩にもってこいのポイントです。まずはここでコーヒータイム。
ハクサンコザクラでしょうか。この付近の株は色が薄いものが多く見られました。(後にユキワリソウと判明)
タテヤマリンドウとおぼしき花も多く見られました。判別は不能。
アズマギクも新鮮です。
オオバキスミレにも出会えました。この花はこの後も大きな群落が至る所に見られました。
キヌガサソウも八ヶ岳にはありません。大きさはまちまちですが、毅然としていい花です。
サンカヨウ!北岳でも数株出会えましたが、こちらのものはその株数と大きさで圧倒されます。
憧れのシラネアオイ。野生のものは十年程前に巻機山で出会って以来なので感激もひとしお。ようやく群落といえるものに出会えました。雪国を象徴する名花です。
ハクサンコザクラも花色が濃いものが多いようです。
朝日岳が間近に迫ってきました。残雪がきれいですね。
雪渓の末端から流れ出る細流の畔には大小様々のミズバショウが咲き誇っていました。花期的には少し遅い感じです。
トラバース途中のテラスでくつろぐ同行のT氏。今回はまずまず頑張ってくれました。
リュウキンカも花盛りです。
ベニバナイチゴ。
雪倉岳方面も雲の合間から顔を覗かせます。
こんな雪渓の斜面が所々に現れます。ベンガラが撒かれルートは明瞭です。
千代の吹き上げのコルに達すると一面にミヤマムラサキが現れ始めました。この花は翌日の雪倉岳周辺にも一面に咲き乱れていました。南アルプスとは大違いの密度です。
おなじみイブキジャコウソウ。
クモマミミナグサ?ナデシコ科の花は判別が難しいものが多いので、勉強が必要です。
おなじみハクサンフウロ。
シロウマアサツキでしょうか。まだ蕾のものが多く見られました。
ミヤマウイキョウも大株が目立ちます。
栂海新道分岐の標柱。いつかは歩いてみたいコースです。
蛇紋岩の大岩。この辺り一帯に点在するようです。
巨大なドーム状の雪渓。膨大な量の雪の集積です。
何とか朝日岳に到着。やれやれ。
朝日山頂のT氏。疲労の色が隠せません。
同じく私。まだまだ余裕です。この38リットルザックにテン泊装備一式と一眼レフが入ってしまいます。
ようやく朝日小屋が見えてきました。
今宵の宿。
まずはお疲れさまの一本!キンキンに冷えてます。
ようやくひと心地ついたT氏もこの笑顔。
夕方になってガスが晴れ、白馬方面が見渡せるようになりました。真中の旭岳が凛々しいですね。
穏やかな落日となりました。