久しぶりに国産ワインの逸品を飲みました。
マルス穂坂ワイナリーの「マスカットベーリーA 垣根仕立て キュベ 相山 泰 2021」です。
これは自ら購入したものではなく、一昨年山仲間から何かのお礼にと頂いたもので、ろくに中身も確かめずに保管していたものです。
マルス穂坂ワイナリーは車で1時間ほどの距離にあり、2017年にオープンしたことは知っていたのですが、その頃はワインに対する熱も少し冷えかかっていたこともあって、足が向くこともありませんでした。
ワイナリー自体は未だ訪問してはいないのですが、思いがけず、そこで作られたワインを抜栓する機会に恵まれ、またその品質の高さに驚くことに。
以下簡単なテイスティングコメントです。
・色は薄いガーネット
・控えめだが、はっきりとしたバラのアロマ
・いちごジャムのブーケが続く
・非常にクリーンな味わいで、いちごの軽い酸を感じ、どこまでも綺麗な旨みを含んでいる
・アフターには少し苦味を感じるが、きれいな余韻が残る
とまあこんな要領を得ない感想ですが、とにかくエレガントな味わいに驚きました。
マスカットベーリーAを原料としたワインというと、従来キャンディー香と言われる甘い香りが特徴で、あまり複雑さのない単調な味わいの印象がありましたが、今回このワインを飲んでみて全くこれまでの概念が覆される思いでした。
こういった比喩は本来適当ではないと思いますが、「上質のブルゴーニュ」というのが最もこのワインを言い表していると思います。
そもそも日本で飲む外国産ピノノワールはよほど大枚叩いてフランス産の有名どころのドメーヌ物を飲まない限り、硬くフラットな味わいのものが多く、近年量販店やコンビニなどでも買えるピノは、カベルネソービニオンなどだとコスパと品質の高さが素晴らしいニューワールドのものでも、どこかテロワールの主張が強く、パワフルであってもピノらしさを感じないものがほとんどです。
輸出用に亜硫酸添加の度合いなどが異なる、ということもあるかもしれませんが、なかなか柔らかくきれいな味わいのピノノワールにはお目にかかれないのが現状です。
そういった意味では北海道で作られるピノノワールには寒冷地故か、上記の要素を満たしているものが出てきて、フランスのものとはまた違った繊細な味わいを感じさせてくれます。
今回飲んだMBA(マスカットベーリーA)はそれに勝るとも劣らない繊細さと旨みを持つ、上品なワインでした。
翌日以降も特に劣化することなく、多少フラットになりながらも、香りや旨みが残り続けていたのには驚きました。
国産ワイン恐るべしです。

ラベルは至ってシンプルなデータ表記を全面に配したもの。

この日はパエリアを作ったので、何気なく開けてみたのですが...。

合わせる料理がパエリアだと、少し勿体無い気がしました。