先日初めてキースへリング美術館に行ってきました。
美術館のある小淵沢までは車で30分の距離なのですが、何故か足が遠く、訪れるのは初めて。それだけ美術と無縁の生活を強いられてきたということでしょう。(無論これも自業自得のなせる技ですが)
キースは生年が二歳下だけなのでいわば同世代。まだ美術にどっぷり浸っていた頃、美術雑誌や広告の世界でも盛んに取り上げられ、ポップカルチャーの寵児として現代美術界で脚光を浴びていたのを覚えています。その頃自身の制作テーマがあまりにアカデミックだったせいか、これといったシンパシーも感じなかったのですが、改めてその絵画世界に足を踏み入れてみると美術の持つ非日常、非常識、独立性、自由というものが如何に社会にとって不可欠であり、意味を持つものであるかとういうことを改めて感じされられます。
反面ストリートアーティストといわれた作家達が大手画商に見いだされ、脚光を浴び、経済的にも成功し、美術館に収蔵されて権威化するというプロセスには美術の社会的普遍性の大きな課題も感じざるをえません。ただそこにはアーティス個人が成功と引き換えに抱える葛藤や閉塞感、不自由から捌け口を求めるあまり心身の破滅という結果で相殺されるリスクもあり、それまでが作品化されることにはある意味での悲しさも感じます。
本当に久し振りに天井の高いモダン建築の中に身を置いて、懐かしさと少しばかりの高揚感と後悔を同時に感じながら、あらためて非日常性の日常化ということを考えさせられる時間を過ごしました。
美術館外観。前夜に雪が降り、アプローチも雪化粧しています。
エントランス付近。
展示室は撮影禁止なので、屋上スペースへ抜ける階段から空を撮りました。
屋上。「空のスペース」というそうです。
逆ハートの鏡面。何を映すんでしょう。
座れないベンチと化していました。
ヨーロッパの城塞を思わせる外壁形状。
トイレもモダン。
敷地内に隣接するホテル「キーフォレスト」。