ようやく撮れました。
二年越しのノビタキとニッコウキスゲのコラボです。
2022年の7月半ばに野草撮影を目的に高層湿原のある高原をトレッキング中に偶然ノビタキの給餌シーンを撮影して以来、翌年は花とのコラボを狙って何度もチャレンジしたのですが、完敗。
特にニッコウキスゲに止まるノビタキはかすりもしないという状況でした。
今回も最初に向かった撮影地では鳥の姿もまばらで、加えてバーダーの数も多く、その砲列に恐れをなしたのか、遠くを飛び回るだけで全く寄る気配もありません。
たまに近寄ると思えば、絵にならない電柵支柱や侵入止めのロープの上だけ。
埒が開かないのでここは諦め、別のニッコウキスゲ保護地に向かいました。
こちらは遊歩道が狭く、観光客も多いので、撮影には不向きなのですが、ニッコウキスゲの密度が高いのでノビタキさえ寄ってくれれば花止まりの確率も多少は増えるはずです。
観光客に前後を挟まれ、斜面に付けられた遊歩道を登ってゆくと500mmの大砲を手持ちで撮っている一人の青年バーダーと出会いました。ここでは野鳥専門に狙っているのは彼だけだったので挨拶してそのそばに陣取りました。
どうやら付近に一番(つがい)のノビタキが営巣しているらしく、10m〜20mぐらいの範囲で盛んに採餌、警戒、示威行動を行っていました。
距離10mは500mm+1.4xエクステンダーだとほぼフレームいっぱいの構図になります。
これまでこの距離で撮影する機会は稀でしたので、一気にテンションも最高潮に。
あとはニッコウキスゲに止まってくれるのを待つだけです。
お気に入りは15mぐらい先にあるズミか何かの枯れた細枝で、そこから周囲を飛び回ってはまた戻るという行動を繰り返します。
時たま採餌か他の理由かそこを離れてニッコウキスゲの花上や茎に止まりますが、いいアングルで留まってくれないので、シャッターチャンスを逃すばかり。
しばらく粘ってようやく満足のいく写真を押さえることができました。
苦節二年。これで肩の荷を一つ下すことができました。
よく観察していると、ノビタキの行動の主体は採餌と示威行動。
時々他のノビタキのオスを追い払う以外はこの二つを繰り返し、特に我々バーダーの撮影行動を警戒している様子でした。
今回も欲に駆られて長時間留まってしまいましたが、ノビタキにとっては命懸けの繁殖行動です。
ナチュラリストを自認するものとしては反省しきりの撮影行となりました。
※画像は全てノートリミング、RAW現像済み
使用機材:Canon EOS 7D Mark II + Canon EF500mm F4 IS USM(×1.4エクステンダー使用)
場所を移動後最初の花止まりカット。蕾ですが構図的にはまずまず。
近くには来てくれても前年の枯れ枝ばかり。
ようやく開花したニッコウキスゲに。日差しが強いのでハイコントラストになってしまいました。目が出ません。
日が翳ったので色は出ましたが、止まったのは蕾。背景の緑がいいですね。
花がらみでは今回のベストショット。若干空抜けに近いですが、背景のボケもきれいです。ノビタキもここまで解像すれば満足です。
メスも盛んに採餌していました。
口を開けて盛んに鳴くオス。威嚇行動でしょうか。
今回最接近したカット。厳しい面構えです。
こちらもかなり近い距離まで来て地鳴きしていました。威嚇行動のようにも見えましたので、これを潮に退散しました。構図的にも背景的にもお気に入りの一枚です。